一国平均役

一国平均役とは

一国平均役（いっこくへいきんやく）は、中世日本において、朝廷の許可を得た上で各国が課せられる臨時の租税制度です。この制度は、荘園や公領といった特定の土地に依存するものではなく、一国単位で平均的に賦課されることから名付けられています。具体的には、国司が管理する公領や荘園からの徴税が行われるため、その運用が地域経済に与えた影響は少なくありませんでした。

沿革

国宛制の成立

9世紀から10世紀にかけて、律令制度の崩壊が進む中で、従来の租税体系は大きく変化していきました。朝廷は臨時的な事業の費用を捻出するため、新たに「国宛」という制度を設け、特定の国に租税負担を割り当てる方針が取られました。これにより、国司は自国の正税や不動穀から財源を調達することが求められるようになりましたが、これらの収入が不足すると、国司は公田に雑役を課す方法に転換していきました。

一国平均役の確立

初期の国宛制度が不安定化していく中、国司は新たに不輸荘園にも雑役を課して徴税を強化しようとしました。一国平均役の具体的な導入に関しては、様々な時期に異なる事例が存在しますが、1031年に尾張国での一国平均役が最初に認められた記録が残っています。このように、異なる事業に対する一国平均役の適用が徐々に広がったものの、制度が正式に確立されたのは1157年の内裏造営が契機とされています。

朝廷からの賦課

1157年、後白河天皇は荘園が負担を拒む際には荘園の没収や領家の交替を命じるなど、権威を背景に一国平均役の宣旨を出すようになりました。これにより、従来は受領の申請に基づいて賦課されていた制度から、朝廷側からの能動的な賦課へと変わっていきました。こうした変化は、国司や荘園領主との関係においても大きな影響を与えることになりました。

一国平均役の徴収プロセス

一国平均役の徴収には、必ず朝廷の認可を受けて発給された宣旨が必要でした。これは、特定の荘園が朝廷から不輸の認定を受けていたためです。また、この徴収は公領からの官物から負担されることが原則であり、一国平均役はあくまで臨時的な措置であることを理解しておく必要があります。

戦国時代への影響

平安時代末期には、平氏政権が兵粮米を賦課するなど、一国平均役の影響は拡大していました。鎌倉幕府成立後には、源頼朝が朝廷から一国平均役の徴収権限を付与され、イニシアティブは幕府に移りました。こうした流れの中で、一国平均役は守護による支配の強化にもつながり、室町時代には段銭という形でより具体的な制度へと変化していきました。

まとめ

一国平均役は、中世日本の税制における重要な転機を象徴する制度です。地域の経済動向や荘園の勢力関係を反映したこの制度は、時代とともに変化しながらも、日本の租税制度の基盤を形成しました。

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