公田

公田についての詳細

公田（こうでん、くうでん、くでん）は、古代日本の律令制において公（国家または朝廷）が所有している田地や畑地を指しています。この用語の意味は、時代や地方によって変化しているため、理解には注意が必要です。

律令制初期の公田

律令制の初期、日本では全ての土地が公のものであるとされていました。この時期、口分田など特定の者が耕作する権利を持つ土地は「私田」と呼ばれるのに対して、無主の状態にある土地は「公田」とみなされました。特に、乗田（じょうでん）は、口分田の代替地として利用されることがありました。このような土地から営まれる農業の収益は、太政官に上納される仕組みでした。

他の種類の公田

律令法は中国律令の影響を受けているため、公田の概念にはいくつかの変遷がありました。田令や明法家によれば、主に乗田が公田とされましたが、神田や寺田など、公的な目的で管理され、租税が免除される土地も公田に含まれることがありました。この考え方は中国の影響を反映したものです。

公地公民制の崩壊と公田の変化

天平年間以降、口分田が私田として認識されるようになると、これに対する概念として「公田」が用いられるようになりました。これは、墾田永年私財法の施行によって私有地の概念が確立し、公の支配を受ける土地が再定義されたためです。さらに『延喜式』では、公共の整備に依存している土地が公田として理解されることが示されました。平安時代に入ると、不輸租田が登場し、公田概念は狭まっていったのです。

中世における公田

中世に入ると「公田」という言葉は異なる意味を持つようになり、いわゆる「くでん」という呼称が一般的になりました。寺領においては、官物部分が国衙に納付されることが通常でした。鎌倉時代や室町時代では、公による検注を経て認定された「定公事田（定田）」が登場し、特定の田畑としての意味合いは薄れ、所領の一定割合を示す概念となりました。この時代には、公田の概念は国衙領に限られ、さらに大名独自の検地に移行していく過程で変化を遂げました。

現代に残る公田の名

現在でも「公田」という地名が残る例があります。群馬県前橋市の公田町や神奈川県横浜市栄区の公田町などがその代表です。

中国における公田

中国でも公田は私田に対立する概念として用いられ、特に井田制では中央の区画が公田として共同耕作されていました。これらの制度は日本にも影響を与えました。

朝鮮半島の公田

朝鮮半島においては高麗末から李氏朝鮮時代にかけて、公田と私田に分けられ、公田に属する土地も数多く存在しました。

公田の概念は歴史の中で様々な変遷を経ており、そのためにより多くの文脈が必要とされます。これは公田が十字路的な存在であり、時代や制度に応じた土地利用の変化を反映していることを示しています。

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