一型アクセント

一型アクセントとは

一型アクセントとは、日本語のアクセント体系における一つの型であり、アクセントのパターンが一つしかないものを指します。特に、宮崎県の一部地域から鹿児島県にかけての南北に細長い地域（諸県弁）で顕著に見られるアクセントです。この地域の一型アクセントは、文節の最後の拍が必ず上がるという特徴を持ち、尾高一型アクセントとも呼ばれます。

尾高一型アクセント

一型アクセントの中でも特に特徴的なのが、文節の最後の拍が上がる尾高一型アクセントです。このアクセントは、特定の地域でのみ使われるため、地域的な特徴を色濃く反映していると言えます。尾高アクセントは、文節の終わりを高くすることで、その区切りを明確にする役割を果たします。

無アクセントとの違い

一型アクセントを無アクセントの一種として捉える場合もあります。この場合、無アクセントは「平板一型アクセント」または「崩壊一型アクセント」と呼ばれ、一型アクセントとは区別されます。しかし、重要な違いは、一型アクセントの話者はアクセントの型を認識しているのに対し、無アクセントの話者はアクセントの型を意識していない点です。つまり、アクセントの型が存在するかどうかが、両者を区別する重要なポイントとなります。

一型アクセントの課題

一型アクセントは、アクセントのパターンが一つしかないため、同音異義語をアクセントで区別することができません。例えば、「橋」と「箸」のように、アクセントの違いで意味を区別する東京式アクセントとは異なり、一型アクセントでは、これらの単語を同じように発音します。そのため、文脈や他の要素で意味を判断する必要があります。

一型アクセントの起源

宮崎県・鹿児島県の一型アクセントは、鹿児島県の大部分で使われている二型アクセントが統合してできたものだと考えられています。また、東京式アクセントと同様に、文節の区切りを識別することが可能です。さらに、五島列島の最南端にも一型アクセントが分布していることが確認されています。

その他の地域の一型アクセント

愛媛県大洲市付近では、無アクセントとされることが多いですが、文節の最初を高く発音する傾向があるため、頭高一型アクセントとして分類されることもあります。このように、一型アクセントは地域によって様々なバリエーションが存在します。

まとめ

一型アクセントは、日本語のアクセント体系の中で、特定の地域に特有のアクセントパターンです。無アクセントと混同されることもありますが、アクセントの型を意識しているかどうかで区別されます。同音異義語の区別が難しいという課題はありますが、地域ごとの言語的特徴を理解する上で重要な要素です。

参考資料

秋永一枝『日本語音韻史・アクセント史論』笠間書院、2009年。ISBN 4305704676。
コトバンク『一型アクセント』

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