一式半装軌装甲兵車

一式半装軌装甲兵車 ホハの概要

一式半装軌装甲兵車ホハ（いっしきはんそうきそうこうへいしゃ ホハ）は、第二次世界大戦の期間中、大日本帝国陸軍によって使用された装甲兵員輸送車です。この車両は「半装軌」として知られるもので、その名の通り、半分は装軌式の特性を持つことが特徴です。

開発の背景

日本陸軍は、戦前から戦闘時における兵員の移動手段として装甲で覆われた車両を研究していました。1933年には九二式重装甲車の足回りを用いた試製装軌自動貨車TCが有り、続く1934年に試製装軌自動貨車TE、さらに1935年には試製装甲兵車TGが試作されました。

初めて実用化に至ったのは1938年に試製された九八式装軌自動貨車です。この車両は優れた性能を誇り、正式に量産が始まりました。この成功に触発されて、ホハが新たに開発されたのです。しかし、部内では「装軌」と「半装軌」の間で激しい議論が繰り広げられ、同時に一式装甲兵車ホキも開発され、制式化が進められました。

制式化と性能

ホハは1941年に正式に制式化されました。この車両の「一式」は、皇紀の下2桁を取ったもので、この時期の他の軍用車輌同様に、多様な機能を有しています。最高時速は50km/hに達し、最大で12名の兵士または2トンの貨物を搭載する能力があります。

しかし、当時の日本の軍部は限られた資源や人員、予算を航空機や艦船の開発に優先的に振り分けたため、ホハの本格的な量産は1944年になってからようやく開始されました。製造された車両は、フィリピンや中国大陸といった戦場に送られましたが、あまり充分な数とは言えず、途中で輸送艦ごと沈没する例も多く見られました。

運用と実績

結果的に、他国の軍用車両、例えばドイツ軍のSd Kfz 250や251、アメリカ軍のM3のような大量導入には至らず、当時の日本陸軍兵士は基本的に徒歩で移動することがほとんどとなりました。これは、当時自動車免許を持つ者自体が少なかった現実に起因しています。

ホハを含む半装軌式装甲兵車は、少なくとも800両程度が生産されたと考えられています。具体的には、昭和19年度から昭和20年度の生産数は501両に達し、ホハとホキの生産比率は不明ながらも、部隊の運用には一定の貢献を果たしました。

終戦後の運命

戦後、本土決戦用に国内に残されたホハの大部分には解体の運命が待っていましたが、一部の車両は生き残り、戦後の復興に寄与しています。東京では本車を改造してゴミ収集車として利用されるなどの事例も見られました。また、ホハを生産した日野重工では、戦後の民需への転換を図り、この車両のシャーシやエンジンを用いて大型トレーラーやバスの製造に取り組みました。

このように、一式半装軌装甲兵車ホハは、日本陸軍における重要な兵員輸送手段として、その役割を果たし、戦後にもその影響を及ぼしています。

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