一心院

一心院の概要と歴史

一心院（いっしんいん）は、京都市東山区に位置し、浄土宗の一派である捨世派の本山とされています。この寺院は、群仙山という山号を有し、本尊には阿弥陀如来が祀られています。一般的に一心院は、知恩院に囲まれた場所にありますが、独立した寺院としての存在感を示しています。

一心院へのアクセスには、知恩院の御影堂の脇から「智慧乃道」と呼ばれる石段を上るルートが便利です。この石段を登り切ると、左手には法然廟の入口、正面には知恩院の総墓地の入口、さらに右手には一心院の山門が見えてきます。一心院本堂は、知恩院の大梵鐘がある場所の上に位置し、除夜の鐘で有名です。

ただし、一心院の敷地面積のほとんどが墓地であるため、通行制限を示す「墓地に付き通行禁止」の看板が掲げられています。また、境内の安全を考慮し、防犯カメラも設置されています。とはいえ、知恩院の開山時間内には山門が開放されるため、観光客が誤って一心院に入ってしまうこともあります。境内の墓地には、著名な画家の塩川文麟や鈴木百年、儒者の高芙蓉などの墓が存在しています。

一心院の歴史

一心院は、天文17年（1548年）に武蔵国江戸出身の僧侶、縁誉称念（1513-1554年）によって創建されました。称念は、青蓮院から寺地を下賜された後、一心院流として知られる一派を形成しました。17世紀元禄年間（1688-1704年）には、100以上の末寺を従える規模に成長しましたが、その後、派内での対立により知恩院に管理されることとなりました。

墓地の最上段には、江戸時代を通して知恩院の歴代門主の墓が設けられており、今でも宮内庁書陵部によって管理されています。またその近くには、江戸幕府12代将軍、徳川家慶の正室である楽宮喬子女王の遺髪塔もあります。

1838年のこと、知恩院の門主であった尊超入道親王が夢の中で白鶴の群れが一心院の裏山に舞い降りるのを見ることがあり、その吉兆に感銘を受けた親王は、一心院に「群仙山」という山号を付けました。親王自身が筆を取ってこの字を書き、額字を作らせたとされています。

1950年には、浄土宗からの分派として一心院を本山とする浄土宗捨世派が設立され、現在に至るまで寺院の歴史を紡いでいます。

文化財

一心院には、重要文化財として「絹本著色阿弥陀如来像」が所蔵されています。この貴重な文化財は、浄土宗の信仰の象徴として位置づけられ、多くの参拝者や観光客を魅了しています。

所在地

一心院は、京都府京都市東山区新橋通大和大路東入三丁目林下町457に位置しています。訪問の際は、周囲の風景を楽しみながら、一心院の歴史と文化を掘り下げることをお勧めします。

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