高芙蓉

高 芙蓉の生涯と業績

高芙蓉（こう ふよう、1722年4月30日 - 1784年6月13日）は、江戸時代中期に活躍した儒学者、篆刻家、画家であり、日本の印章制度を確立した人物として「印聖」と称されています。本名は孟彪で、号は芙蓉、出身地にちなんで苗字の高を名乗りました。彼の業績は多岐にわたり、特に篆刻においてその才能が開花しました。

生い立ちと学問

芙蓉は甲斐国の高梨郡で生まれましたが、出身地については諸説あり、甲府市域や信濃国とも関連付けられています。祖父は徳川光圀に仕官していましたが、盗難事件に巻き込まれたことで甲斐国に移住。その後、父は医師として活動していました。若い頃は医業を志し、幕医の塾で学びましたが、やがて文雅の道に興味を抱き、京都での遊歴を決意しました。

京都では、彼は有職故実に通じた坊城菅公に学び、藤貞幹や中川経雅と交友を深め、書道に萌芽し始めます。特に真蹟や法帖の蒐集に力を入れ、趙孟頫や文徴明の法帖を模刻しながら独学で中国古典も読み深めました。この間、近藤斎宮と名乗り、生計を立てるために売講や個人授業を行っていました。

文人たちとの交流

芙蓉は柳沢淇園、木村蒹葭堂、売茶翁ら多くの文人と親交を深め、特に池大雅や韓天寿との友情は生涯にわたるものでした。彼は富士山を描いた「百芙蓉図」で知られ、煎茶道にも精通しており、「キビシヤウ」という技法を考案したとされています。

彼は書画だけでなく、銅器や玉材などの器物の鑑賞にも造詣が深く、多才な側面を持っていました。

篆刻の業績

高芙蓉の特筆すべき業績は、篆刻における革新と日本印章制度の確立です。江戸時代、中興の篆刻家たちは中国の流派に影響されていましたが、彼は独自に古銅印に魅了され、明代の篆刻家の作品を模刻します。また、他の多くの文献や印譜を研究し、秦・漢の印章技術にも遡る研究を行いました。

彼の弟子たち、特に葛子琴や曽谷学川は彼の影響を受け、その技術を継承しました。芙蓉の流派は「古体派」として知られ、明治初期まで広がりを見せました。彼の教えは青木木米や山本緑陰などにも伝わり、多くの弟子たちによって受け継がれることになります。

晩年と死

天[[明]]4年、常陸宍戸藩に呼ばれて江戸に赴いた芙蓉は、到着早々に病にかかり、63歳でこの世を去ります。彼は小石川無量院に葬られ、その後芝天徳寺にも改葬されました。彼の業績は後世に大きな影響を与え、印章学の領域において不朽の名声を残しています。

著作

芙蓉は多くの著作を残しており、篆刻や印章制度に関する重要な文献が含まれています。主な著作には『篆原』や『漢篆千字文』、さらには『古今印選』や『游襄日記』などがあります。これらの著作は後の篆刻家たちにとって貴重な指針となりました。

高芙蓉の生涯は、伝統文化の継承と革新を追求し続けた、まさに日本の文化史における偉人の一人だったことを示しています。

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