一文字屋和輔

「一文字屋和輔（いちもんじやわすけ）」は、京都市北区、今宮神社の旧参道に位置する和菓子店です。創業は平安時代中期の長保2年（西暦1000年）とされ、2020年現在、飲食店としては日本最古の老舗として知られています。まさに「1000年企業」の一つと言えるでしょう。

店名の看板には「一文字屋和助」あるいは「あぶり餅 一和」と表記されていることもあり、通称は「一和」です。「一文字屋和輔」とも「一文字屋和助」とも書かれることがありますが、正式な表記は明らかではありません。

歴史

一文字屋和輔の歴史は、今宮神社の歴史と深く関わっています。今宮神社は994年（正暦5年）に悪疫退散の祈願を行ったのが始まりで、その際には竹が用いられ、餅が供えられました。一文字屋和輔は、1000年（長保2年）に初代がそれらの餅を参拝者に振る舞ったのが始まりとも、初代が香隆寺の名物であった「おかちん（勝餅：あぶり餅）」を今宮神社に奉納したのが始まりとも伝えられています。今宮神社は悪疫除けの神社であり、一文字屋和輔のあぶり餅もまた、疫病除けの餅として人々に親しまれてきました。

建物

店舗は複数の建物が密接して建っており、古い建物は元禄年間、新しい建物も大正時代のものとされています。店内には直径3メートルもの大きな井戸があり、平安時代からのものと伝えられていますが、衛生上の問題から、井戸水は飲食には使用されていません。

あぶり餅

一文字屋和輔で提供されているあぶり餅は、一口大の餅にきな粉をまぶし、竹串に刺して店頭で丁寧に焼かれます。焼き色がついたら、ほんのり甘い白味噌のタレにつけていただきます。あぶり餅作りは、店の女性たちの仕事とされています。

周辺

店は今宮神社の旧参道にあり、ほぼ同じようなあぶり餅を出す店が向かい合って立っています。北側が一文字屋和輔で「元祖」を名乗り、南側は創業以来400年の歴史を持つ「かざりや」で「本家」を名乗っています。両店のあぶり餅は見た目はよく似ていますが、それぞれに微妙な味の違いがあると言われています。

2023年現在、あぶり餅は一人前一皿11本で600円で提供されています。定休日は水曜日で、営業時間は10時から17時までです。

景観重要建造物

一文字屋和輔の店舗は、京都市の景観重要建造物に指定されています（認定番号 第１号）。京都市はその認定理由を「今宮神社東門へと続く参詣道の通り景観の形成に重要な建造物である」としています。

外部リンク

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