一条通

一条通の概要

一条通（いちじょうどおり）は、京都市の中心部に位置する主要な東西の通りの一つで、平安京の一条大路にあたります。この通りは、東端が烏丸通に接し、西端は右京区の花園近くに達していますが、さらに西へ延びて嵯峨野の清凉寺までを含むこともあります。また、一条通は宇多野で分岐し、周山街道にもつながっています。

今日では、一条通は市街地の中心部では狭く一方通行の道路として利用されており、堀川にかかる一条戻橋が特に有名です。

歴史的背景

一条通は、平安京の北部に設計された通りですが、当初は現在の土御門大路の位置にあたっていました。その後、北へ二町拡張され、今日の一条大路の場所が形成されました。ひとまず、両者の間には「北辺」という呼称が存在しました。

平安後期から鎌倉期にかけて、一条大路を越えた北側には貴族の邸宅が建設され、市街地は次第に拡大しました。この頃には、平安京北端の大路という役割は薄れていきました。『明徳記』の記録によると、南北朝時代の末期には明徳の乱において、一条大路を東へ進軍する山名軍の様子が描かれています。この道は、当時500頭以上の騎馬が進軍可能であったとされています。

その後、一条通は豊臣秀吉の時代に重要な影響を受けたと考えられています。その時期、一条通の南には荒れ果てた平安京大内裏の跡地が広がっていましたが、秀吉はここに新たな政庁として聚楽第を建立しました。この栄華はわずか10年ほどで消え去りましたが、その後、本丸北堀や北の丸によって一条通は東西に遮られ、聚楽が取り壊された後も江戸時代の寛永期に至るまで通行が障害されることが予想されています。

この間、一条通のすぐ南には正親町小路（中立売通）が整備され、堀川にかかる橋も一条戻橋よりも大きな橋に置き換えられたことが記録されています。しかし、秀吉以降の歴史的資料の多くでは「戻橋」に言及する際に混乱が見られ、一時的に一条橋はその名を失うほど地位を低下させていたと考えられています。

聚楽第の周囲には、秀吉に近づこうとする貴族たちが屋敷を構えたけれども、一条通沿いにも黒田如水や上杉弾正大弼景勝など、ゆかりの町名が現在も残っています。

東一条通

東一条通（ひがしいちじょうどおり）は、一条通と中立売通の間に位置し、鴨川を挟んでいます。西側は川端通から始まり、東側は吉田神社の鳥居前まで続きます。このエリアは、東大路通から東へ延びている吉田神社の参道となっており、特に節分祭の際には露店で賑わいます。また、この区間の両側には京都大学の吉田キャンパスが広がっており、正門もこの通りに面しています。4月の入学シーズンには、京都大学の課外活動をアピールする立て看板が所狭しと立てられます。

吉田参道は幕末期において、現在の京都大学吉田キャンパスに尾張藩下屋敷が置かれたことにより整備され、神社へと続く重要な道としての役割を果たしました。明治時代から大正時代にかけて、鴨川の対岸から架橋を行いながら東一条通を拡張し、市電を敷設する計画もありましたが、その後の工事は途中までで実現には至りませんでした。現在、東一条通が川端通から鞠小路通にかけて、やや広い幅員を保っているのは、その名残です。

2017年からは、東大路通から京都大学正門までの間で通信ケーブルを地中に埋設する実験が行われています。これにより、一条通やその周辺の発展も注目されています。

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