吉田神社

吉田神社の概要

吉田神社は、京都市左京区吉田神楽岡町に位置し、吉田山に抱かれるように鎮座する神社です。古くは二十二社の一つに数えられ、現在は神社本庁の別表神社となっています。その歴史は平安時代に遡り、藤原氏の氏神として創建されました。祭神は春日大社と同じ四柱の神々で、建御賀豆智命（たけみかづちのみこと）、伊波比主命（いわいぬしのみこと）、天之子八根命（あまのこやねのみこと）、比売神（ひめのかみ）を祀っています。

歴史

吉田神社の創建は貞観元年（859年）、藤原山蔭が奈良の春日大社から四柱の神を勧請したことに始まります。その後、平安京における藤原氏全体の氏神として、朝廷からも崇敬を受けるようになりました。鎌倉時代以降は、卜部氏（後の吉田家）が神職を世襲するようになり、室町時代末期には吉田兼倶が吉田神道（唯一神道）を創始しました。その拠点として、文明16年（1484年）には境内に末社である斎場所大元宮が建立されました。江戸時代には、吉田家は全国の神社の神職の任免権を与えられ、神道界に大きな権勢を誇りましたが、明治時代に入ると、その特権は剥奪され、国家[[神道]]の下で伊勢神宮が中心となり、吉田神社は官幣中社となりました。

大元宮

斎場所大元宮は、吉田神社の末社でありながら、かつては吉田神道の信仰の中心でした。吉田兼倶が創始した吉田神道では、虚無太元尊神（そらなきおおもとみことかみ）を宇宙の根源神とし、大元宮にはその虚無太元尊神をはじめ、全国の神々が祀られています。この大元宮を拝むことは、日本中の神社を拝むことと同じとされ、伊勢神宮よりも上位の格を持つとされていました。また、かつて神祇官で祀られていた八神殿も、一時大元宮の境内に遷座されていましたが、明治時代に皇居に移されました。現在、大元宮は吉田神社の一末社として扱われています。

境内

吉田神社の境内には、本殿をはじめ、拝殿、舞殿、直会殿など、多くの建物が立ち並んでいます。本殿は4棟からなり、いずれも京都府指定有形文化財に指定されています。また、境内には奈良の猿沢池を模して造られた竜沢池があり、かつては雨乞いの神事が行われていました。他にも、太元講社郷土資料館や吉田幼稚園などがあります。

摂末社

吉田神社には、多くの摂末社があります。主なものとしては、若宮社、神楽岡社、斎場所大元宮、東神明社、西神明社、東諸神社、西諸神社、八神殿跡、神龍社、今宮社、祖霊社、菓祖神社、山蔭神社、三社社、竹中稲荷神社、天満宮社、竹劔稲荷神社などがあります。これらの摂末社は、それぞれ独自の祭神や歴史を持ち、吉田神社の信仰を豊かにしています。

主な祭事

吉田神社では、年間を通して様々な祭事が行われていますが、中でも有名なのが節分大祭です。この祭りは室町時代から続く京洛の一大行事で、疫神祭、追儺式（鬼やらい）、火炉祭などが行われ、多くの参拝者で賑わいます。また、例祭は4月18日に行われます。

文化財

吉田神社には、多くの文化財が残されています。斎場所大元宮は重要文化財に指定されており、その特異な建築様式は注目に値します。また、本殿や中門、御廊など9棟の建物が京都府指定有形文化財に指定されています。

現地情報

吉田神社は、京阪電鉄出町柳駅から徒歩約20分、または京都市営バスや京阪バスでアクセスできます。駐車場も完備されています。周辺には、京都大学吉田キャンパスや宗忠神社などがあります。

吉田神社は、その長い歴史と数多くの文化財を有する、京都を代表する神社の一つです。ぜひ一度訪れて、その神聖な雰囲気を味わってみてください。

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