一王山町

神戸市灘区一王山町：歴史と自然が織りなす街

神戸市灘区に位置する一王山町は、住居表示が実施済みで、丁番を持たない単独町名です。2020年10月1日時点の国勢調査によると、世帯数は525世帯、人口は1029人（男性501人、女性528人）と、穏やかな規模の町です。郵便番号は657-0012です。

地理的特徴

一王山町は、東を石屋川を挟んで桜ケ丘町、南を寺口町、西を兵庫県道95号灘三田線を挟んで六甲台町、北を鶴甲、北東を背山の高羽と接しています。六甲山系のふもとに位置し、自然豊かな環境が魅力の一つです。

歴史と由来

一王山町は、1956年（昭和31年）2月、高羽字カミカより成立しました。町名の由来は、地域内に位置する一王山十善寺にあります。南隣の寺口町は、十善寺の入り口にあたることからその名が付けられました。

十善寺は、元々は赤松町にあったと伝えられていますが、元弘3年（1333年）の赤松則村（円心）による播磨からの攻め上がりと、摩耶山城における北条軍との戦いの際に戦略拠点として利用され、二度焼失するなど、激動の時代を経験しています。現在の寺の姿は、宝暦年間（1751～1764年）に整備されたものです。

寺の名称である「十善寺」の由来については、いくつかの説があります。寺の南側に位置する二つの尾根が「一の尾」「二の尾」と呼ばれ、その「一の尾」が中世文書に「市尾山」と記されていることから、「一王山」という名称が生まれたとする説があります。「王は十善神は九善」という言い伝えから十善寺と名付けられたとも伝えられています。

一方で、別の説も存在します。六甲ケーブル線路の東側の尾根を「一の尾」、線路敷の谷を「一の谷」と呼ぶという記述があり、六甲ケーブル下駅の東から油コブシ道を登った清水山南側の台地上に十善寺があったという証言もあります。この説によると、創建地が赤松町とは異なる可能性も示唆されます。

旧字名である「カミカ」については、「神の岡」を意味するとの説と、『六甲村誌』稿に記された「蟹加」を「カニカ」、つまり「カネ」「クネ」のように曲がりくねった場所という意味とする説があります。

まとめ

一王山町は、歴史的な背景と自然環境が調和した、静かで住みやすい町です。十善寺の変遷や町名の由来に関する様々な解釈は、この町の奥深い歴史を感じさせます。周辺環境と歴史を理解することで、一王山町の魅力をより深く知ることができるでしょう。

もう一度検索