一般曹候補学生

一般曹候補学生とは

一般曹候補学生とは、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊において、将来的に曹（旧軍における下士官に相当）となる隊員を育成するための制度です。この制度は、優秀な人材を確保し、組織の安定化を図ることを目的として、1975年に創設されました。

制度の趣旨

従来の自衛官の採用は、任期制の2士が中心であり、一定期間の勤務を経て3曹へ昇任する仕組みでした。しかし、優秀な隊員ほど任期満了で退職する傾向があり、組織の安定化が課題となっていました。そこで、当初から曹への昇任を確約した非任期制隊員として、優秀な人材を確保する目的で、一般曹候補学生制度が設けられました。

この制度により、2士からスタートし、1士、士長と昇任後、約2年間の教育期間を経て、原則として全員が3曹に昇任します。その後、実務経験を積むことで、幹部候補生への道も開かれます。なお、一般曹候補学生とは別に、選抜によって曹に昇任する「曹候補士制度」も存在します。

1997年以降、学歴制限の撤廃や年齢上限の引き上げが行われ、入隊者の年齢層も拡大しました。これにより、大学卒業者の入隊も増加し、多様な人材が自衛隊に加わるようになりました。

しかし、この制度は2006年度の募集をもって終了しています。

教育課程と人事管理

一般曹候補学生は、陸・海・空の各幕僚長によって、陸・海・空士に任命されます。前期教育（約8ヶ月）では、自衛官としての基礎を学び、後期教育では、各職種学校や術科学校で専門的な知識・技能を習得します。陸上自衛隊では、各方面の陸曹教育隊や機甲科教育隊で、海上自衛隊では、大日本帝国海軍の海軍飛行予科練習生に似た詰襟の制服を着用し、航空自衛隊は、基礎教育後、術科教育を受けることになります。教育期間中、曹候補学生は、襟に曹候補者き章（甲）を着用します。

メリットとデメリット

メリット

約2年間の教育を経て、高い能力を持つ人材を中堅幹部として育成できる。
任期制出身の曹に比べ、年齢が若く、潜在能力も高いため、将来の幹部候補や航空操縦学生の供給源となる。
実際に、一般曹候補学生出身者の約7割が、将来的に幹部になっています。

デメリット

職種によっては、2年間の教育期間では、部下を指導できるレベルまで技能を習得することが難しく、部隊配属後もOJTが必要となる。
曹候補生選抜試験が免除されるため、曹としての知識習得に苦労する面がある。

まとめ

一般曹候補学生制度は、自衛隊の組織安定化に貢献する重要な制度でしたが、2006年度をもって募集が終了しています。しかし、この制度で育成された人材は、自衛隊の各方面で活躍しており、その功績は今もなお語り継がれています。

関連項目

自衛官
陸曹候補生
内務班
幹部自衛官・下士官
制服 (自衛隊)

もう一度検索