海軍飛行予科練習生

海軍飛行予科練習生とは

海軍飛行予科練習生（かいぐんひこうよかれんしゅうせい）は、旧日本帝国海軍における航空兵養成制度の一環で、略称として「予科練」と呼ばれます。この制度は志願制であり、航空特務士官に必要な基礎を学ぶことを目的として設けられました。

制度の設立と歴史

予科練の歴史は1929年（昭和4年）にさかのぼり、海軍省令により正式に設けられました。初年度、全国から5807名の志願者が集まり、わずか79名が合格しました。この初期の予科練では、教育期間は当初の3年で、その後短縮されたことも特徴です。合格者は横須賀海軍航空隊に入隊され、ここで基礎的な航空教育を受けました。

戦前の世界において、航空機の活用が進む中で、各国の軍隊は年少者を操縦士候補生として育成する制度を設け始めました。特にアメリカやイギリスでは、若い世代から優秀な操縦士が輩出されていました。これに倣い、日本でも未成年者の操縦訓練が進められたのです。

1936年12月、制度名が「予科練習生」から「飛行予科練習生」に改称され、翌1937年には甲種飛行予科練習生制度が設立されました。この制度では、より高い学力を持つ志願者に対して幹部搭乗員育成が行われました。しかし、入隊後は与えられる待遇が低く、多くの練習生が不満を募らせ、さらにはストライキを引き起こす事態にも発展しました。

戦中の状況

1941年12月に太平洋戦争が始まると、航空機搭乗員の需要の高まりから予科練の入隊者数は急増しました。特に甲飛の1期生から11期生までは、1期あたり200名から1000名程度だったのが、12期生で4000名、13期生以降は毎回3万人以上という膨大な規模での採用となりました。

戦局の厳しい中、1943年からは乙種予科練から特別に選抜された者たちが、短期間での養成を受け始めました。さらに、1944年には海軍特別志願兵制度が導入され、朝鮮人や台湾人も特別丙種飛行予科練習生として教育を受けることとなりました。

最終期の教育

戦局の悪化に伴い、本来の教育体制は混乱し、1944年夏以降は実地訓練が停滞。急速に教育内容が簡素化され、最終的には多くの予科練生が航空機搭乗員ではなく、特攻兵器に回されることもありました。

1945年6月、ほとんどの予科練訓練がキャンセルされ、終戦を迎える頃には多くの元予科練生が他の部隊に転属となっていきました。

教育内容と生活

予科練の教育課程は多岐にわたり、普通学の教科から軍事学、体育、精神講話までが含まれていました。また、情操教育の一環として映画上映会も行われ、参加者は国策映画や時代劇を観る機会がありました。全体として、規律正しい訓練と自由時間のバランスが取られていたが、厳しい教育環境は参加者にとって辛いものであり、時には教官による厳しい懲罰が施されることもありました。

制服は当初不評であったが、1942年以降に新しい濃紺の詰襟制服が採用されました。この制服は、海軍のシンボルである七つのボタンがあり、「七つボタン」として親しまれるような存在となります。このように、海軍飛行予科練習生は日本の第2次世界大戦において重要な役割を果たした存在であり、その歴史は多くの若者たちの青春を象徴するものでした。

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