一般親衛隊

一般親衛隊（Allgemeine SS）とは

一般親衛隊は、ナチス・ドイツの親衛隊（SS）において、親衛隊特務部隊（後の武装親衛隊）を除く全ての組織を指します。1934年に武装親衛隊が創設された際、非戦闘員の親衛隊員は一般親衛隊として区別されるようになりました。武装親衛隊が軍事作戦に従事するのに対し、一般親衛隊は党の活動や警察業務、強制収容所の運営など、多岐にわたる任務を担いました。

武装親衛隊との違い

最も大きな違いは、武装親衛隊が軍人として扱われ、国防軍と同様に給与支給帳（Soldbuch）と軍歴手帳（Wehrpaß）を所持していたのに対し、一般親衛隊は原則として軍人とは見なされず、これらの書類は所持していませんでした。ただし、強制収容所警備を担当していた親衛隊髑髏部隊（SS-TV）は、当初は一般親衛隊に分類されていましたが、1938年以降は軍人扱いとなりました。

組織と構成

一般親衛隊は、常勤隊員と非常勤隊員で構成されていました。常勤隊員は親衛隊の運営に専念し、給与が支給されました。一方、非常勤隊員はそれぞれの職業を持ちながら、党の集会や行事の際に親衛隊の制服を着用して参加しました。彼らはナチ党の活動に自発的に参加することを期待され、公務員として働きながら、その給与を得ている者が多くいました。

制服

一般親衛隊の制服として有名なのは黒い制服です。当初、親衛隊全体の制服として採用されていましたが、武装親衛隊や髑髏部隊が国防軍型の制服を導入したため、一般親衛隊のみが黒い制服を着用するようになりました。しかし、1938年には常勤隊員向けの日常業務制服として、ペイルグレーの制服が導入されました。これにより、常勤隊員は黒い制服の着用が減りましたが、非常勤隊員にはグレーの制服は支給されず、引き続き黒い制服を着用していました。

階級

一般親衛隊と武装親衛隊の階級は、基本的に突撃隊（SA）の階級を基盤としていましたが、一部名称が異なりました。例えば、二等兵は武装親衛隊では「SS-Schütze」、一般親衛隊では「SS-Mann」と称しました。また、武装親衛隊のみに「親衛隊准尉（SS-Sturmscharführer）」という階級が存在しました。

一般親衛隊の負のイメージ

一般親衛隊は武装親衛隊に比べ、悪いイメージを持たれることが多いですが、これは国家保安本部（ゲシュタポ）や親衛隊経済管理本部といった、ユダヤ人虐殺などの残虐行為に関与した組織が含まれているためです。しかし、一般親衛隊員全員が残虐行為に関与していたわけではなく、武装親衛隊にも残虐行為を行った組織や人物が存在します。そのため、「一般親衛隊＝犯罪者、武装親衛隊＝勇者」といった単純な二分法は誤りです。また、両者は同じ親衛隊組織であり、完全に分離していたわけでもありません。

編成

一般親衛隊の非常勤隊員は、親衛隊歩兵連隊（SS-Fuß-Standarte）に属し、連隊単位で行動しました。当初はナチ党の大管区ごとに置かれた「大管区親衛隊指導部」に所属していましたが、後に「親衛隊上級指導者管区」や「親衛隊集団」を経て、「親衛隊上級地区」や「親衛隊地区」に属するようになりました。最終的には、親衛隊上級地区、親衛隊地区、親衛隊歩兵連隊、親衛隊大隊、親衛隊中隊、親衛隊小隊、親衛隊分隊、親衛隊伍という階層構造で編成されました。また、専門職部隊として、騎兵連隊、通信大隊、工兵大隊、衛生中隊、輸送中隊、レントゲン大隊、壮丁隊なども存在しました。

連隊所属の隊員は連隊番号の襟章を着用し、カフタイトルの縁取りの色で所属大隊、番号で所属中隊を示しました。

まとめ

一般親衛隊は、ナチス政権の中核を担った組織の一つであり、その活動は多岐にわたりました。武装親衛隊とは異なる役割を担いながらも、同じ親衛隊組織として連携し、ナチス・ドイツの支配体制を支えました。その負の側面も踏まえ、歴史を深く理解することが重要です。

もう一度検索