七夕神社

七夕神社（たなばたじんじゃ）

福岡県小郡市大崎に位置する七夕神社は、かつて媛社神社（ひめこそじんじゃ）と呼ばれていた古社です。この神社は、織姫として知られる栲幡千千姫命（たくはたちぢひめのみこと）を主祭神とし、その御子である天火明命（あめのほあかりのみこと）と、父である高皇産霊尊（たかみむすびのみこと）も併せて祀られています。また、道主神である宗像神も祀られており、交通安全や道開きのご利益があるとされています。

由緒

創建時期は明確ではありませんが、奈良時代の730年代に編纂された『肥前国風土記』には、この地に七夕の神様が祀られるようになった経緯が語られています。風土記によると、かつて山道川の西には荒ぶる神がおり、人々を苦しめていました。そこで、神託により宗像の珂是古（かぜこ）という人物が、この神を鎮めるために派遣されました。珂是古が幡を捧げ、祈りを込めて空に放つと、幡は現在の七夕神社の場所である姫社の杜に落ち、さらに山道川の辺りにも落ちました。その夜、珂是古の夢に機織りの道具が現れ、神が女神であることを悟り、社を建てて祀ったと伝えられています。この伝承が、七夕神社の起源とされています。

近年では、日本各地の七夕イベントで飾られた短冊が奉納され、七夕の御祈願や短冊の焚き上げが行われています。これは、七夕神社が古くからの七夕信仰を受け継ぎ、現在も人々の願いを繋ぐ場となっていることを示しています。

祭神

主祭神： 栲幡千千姫命（たくはたちぢひめのみこと） - 織姫
配祀神： 天火明命（あめのほあかりのみこと） - 織姫の長男
配祀神： 高皇産霊尊（たかみむすびのみこと） - 織姫の父
配祀神： 宗像神（むなかたのかみ）- 道主神、道の神様

神事

七夕神社では、年間を通して様々な神事が執り行われています。

1月1日：元旦祭
7月7日：御願立祭
8月6日：神輿巡幸
8月7日：七夕大祭（獅子祓）
8月8日：七夕短冊焚上祭
10月第1土曜日：御願成就祭

これらの神事は、地域の人々の信仰と生活に深く結びついています。特に、七夕大祭は多くの参拝者で賑わい、短冊に願いを込めて奉納する姿が見られます。

周辺情報

神社の川の対岸には、菅原道真公と牽牛神である天忍穗耳尊（あめのおしほみみのみこと）を祀る老松神社があります。七夕神社と合わせて参拝することで、より一層神社の歴史と文化を感じることができるでしょう。

所在地・交通アクセス

所在地：福岡県小郡市大崎1番地
交通アクセス
甘木鉄道甘木線 大板井駅より徒歩20分（約1.7km）
車：
大分自動車道 筑後小郡ICより約5.1km
長崎自動車道 鳥栖ICより約3.9km
九州自動車道 小郡鳥栖南スマートICより約3.3km

参考文献

『風土記』、平凡社、吉野裕訳、1969年

七夕神社は、古くからの伝承と現代の信仰が融合した、歴史と文化を感じられる場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。

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