七福温泉

七福温泉（しちふくおんせん）

七福温泉は、新潟県東蒲原郡阿賀町七名地区の、深い山々に囲まれた静かな場所に湧き出す温泉地です。阿賀町は福島県との県境に位置しており、特にこの七名地区は、豊かな自然が色濃く残る里山の風情を今に伝えています。

温泉の特徴

この温泉の泉質は、無色透明ながらも硫黄の香りをわずかに感じさせる単純硫黄冷鉱泉です。泉温は13.3℃と低いため、そのままでは入浴に適さず、加温して利用されています。冷鉱泉ながらも、古くから肌に良い「薬の湯」として地元の人々に大切にされてきた歴史を持ちます。

温泉地の様子と施設

七福温泉の中心となる施設は、日帰り入浴専門の「七福荘」一軒のみです。宿泊施設は併設されていませんが、露天風呂や内湯で、山の景色を眺めながらゆったりと湯浴みを楽しむことができます。

七福荘には食事処も設けられており、挽きたて、打ち立ての蕎麦が名物として提供されています。また、阿賀町の清らかな水と肥沃な大地が育んだ地元の食材をふんだんに使用した料理も味わうことができ、温泉と共に地域の食文化に触れる楽しみもあります。

周辺の自然と観光

七福温泉が位置する七名地区は、「七福の里」とも呼ばれ、その名の通り地域には七福神を祀る場所が点在しています。里山の穏やかな風景の中に、信仰の対象が溶け込んでいるのが特徴です。

温泉地の周辺には、豊かな自然を満喫できるスポットがいくつかあります。春には一面にわらびが茂る丸渕観光わらび園で山菜摘みが楽しめ、夏には涼やかな飛沫を上げる大尾不動滝を訪れるのも良いでしょう。また、かつて集落があった場所に人工的に整備されたたきがしら湿原では、四季折々の湿原植物や野鳥を観察でき、散策コースも整備されています。

宿泊については、七福荘からおよそ1キロメートル離れた場所に、同施設が管理・運営するキャンプ場「ふれあいの森バンガロー」があり、自然の中で宿泊したい方やグループでの利用に適しています。

歴史

七福温泉は、明治時代から既にその存在が知られ、「薬の湯」として地域の人々に利用されてきました。特定の病に効くというよりも、日々の疲れを癒やし、健康を維持するための湯として、生活に根ざした存在だったようです。

時代の流れと共に利用が減少し、一時期は営業を休止していましたが、地域の温泉文化を残そうという動きの中で、施設がリニューアルされました。そして2021年4月24日に「七福荘」としてグランドオープンを迎え、再び多くの人が訪れるようになりました。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、JR磐越西線津川駅から新潟交通観光バスの丸渕行きに乗車し、約45分。「七名」バス停で下車後、徒歩で3分ほどです。ただし、このバス路線は2021年9月末をもって廃止され、予約制のデマンドバスに移行された経緯があるため、公共交通機関を利用する際は事前に最新の運行状況や予約方法を確認することをおすすめします。

自家用車を利用する場合は、磐越自動車道の津川インターチェンジから国道49号などを経由し、約25分で七福荘に到着します。駐車場も完備されています。

七福温泉は、新潟県内に点在する奥阿賀温泉郷の一つに数えられ、喧騒を離れて心身をリフレッシュするのに最適な、知る人ぞ知る静かな温泉地です。

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