万寿寺 (鎌倉市)

万寿寺（まんじゅじ）は、神奈川県鎌倉市長谷に位置していた臨済宗の寺院で、山号を乾明山と称します。

歴史

万寿寺は、1286年（弘安9年）に北条貞時が亡き父である北条時宗の追善供養のために創建されました。開山には、無学祖元が招かれました。創建当初から、臨済宗における重要な寺院として位置づけられ、その格式は高く、天下十刹の一つに数えられました。

1323年（元亨3年）には、北条貞時の十三年忌法要が盛大に執り行われ、喝岩聡一をはじめとする75人の僧侶が参加しました。このことからも、当時の万寿寺が多くの僧侶たちから重視されていたことがわかります。

1341年（暦応4年）には、十刹の第六位に列せられ、その後も順位の変動はあったものの、常に十刹の一員であり続けました。1386年（至徳3年）には関東十刹にも列せられ、関東地方における臨済宗の中心的な寺院としての地位を確立しました。

万寿寺には、東明恵日、高峰顕日、中巌円月、太古世源など、多くの名僧が住し、修行に励みました。特に、夢窓疎石は1303年（嘉元元年）に高峰顕日に師事し、また高山慈照も高峰顕日に謁見したと伝えられています。これらの事実は、万寿寺が禅宗における学問と修行の重要な拠点であったことを示しています。

万寿寺がいつ廃寺となったのかは、正確には分かっていません。鹿山略記には、「中古罹災諸宇尽巳（中古に災禍にあい、多くの建物が焼失した）」と記されているのみで、その詳細を伝える資料は残されていません。しかし、近世の資料である五山之目録には、関東十刹の一つとして「乾明山万寿寺　開山仏光禅師」と記載されており、その名前は後世にも知られていたことがわかります。

万寿寺は、鎌倉時代から室町時代にかけて、臨済宗の重要な寺院として、多くの僧侶や文化人に影響を与えました。現在ではその姿を見ることはできませんが、その歴史は、鎌倉の禅宗文化を語る上で欠かせないものとなっています。

脚注

創建年：1286年（弘安9年）
開山：無学祖元
山号：乾明山
宗派：臨済宗
主な住僧：東明恵日、高峰顕日、中巌円月、太古世源

関連項目

十刹

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