万寿村

万寿村（ますそん）：倉敷市の礎となった村

万寿村は、かつて岡山県窪屋郡および都窪郡に存在した自治体です。現在は倉敷市倉敷地域の万寿、倉敷（一部）、中洲（一部）、老松（一部）地区に分かれています。

概要

村名は、中世の万寿荘に由来します。氏神として春日神社が浜に鎮座し、1891年には万寿小学校も同所に新築されました。1925年の国勢調査によると、人口は8679人で、その内訳は男性3404人、女性5275人でした。繊維工場が立地していたため、女性人口が多かったのが特徴です。

合併の経緯

1915年、倉敷紡績工場が進出したことで、万寿村は急速に発展し、人口は工場設置前の3倍に増加しました。1919年には、倉敷町との合併協議が始まりましたが、幾度となく中断されました。1926年には、隣接する大高村を加えた大倉敷建設の構想が浮上し、当時の郡長、高見章夫の仲介により協議が行われましたが、郡役所の廃止により、合併協議は再び中止となりました。

しかし、同年5月には、摂政宮（後の昭和天皇）が倉敷、万寿、大高の3村を行啓し、この状況に着目した当時の県知事、佐上信一が自ら大倉敷建設の計画を掲げました。佐上知事は、備前の岡山と並び、備中の中心地として実力ある都市を新設することを目指し、町村合併の先駆けとして模範的な合併を行い、将来的に県下の他町村にも合併の機会を促進させることを意図しました。

1927年3月14日の県参事会の議決を経て内務大臣に申請、3月25日付で内務大臣の許可指令が下り、4月1日に大倉敷が発足しました。

行政

歴代首長

窪屋郡第五部戸長役場（所在地：浜村、管轄区域：富久村・浜村・平田村・大島村・福島村）

戸長：窪津大紀（明治16年2月 - 明治22年5月）

沿革

1876年（明治9年）10月31日：窪屋郡浜村と小子位村が合併し、浜村となる。
1877年（明治10年）5月22日：窪屋郡大内村・川入村・八王子村・日吉庄村が合併し、富久村となる。
1883年（明治16年）2月15日：第五部戸長役場を浜村に設置。
1889年（明治22年）4月29日：窪屋郡富久村・浜村・平田村・大島村・福島村が合併し、万寿村が発足。
1889年（明治22年）6月1日：町村制の施行により、自治体としての万寿村が発足。旧村名を継承した5つの大字を編成し、役場を浜に設置。
1891年（明治24年）4月25日：山陽鉄道倉敷駅が開業。
1900年（明治33年）4月1日：都窪郡の新設により、都窪郡万寿村となる。
1915年（大正4年）：倉敷紡績万寿第一工場が建設。
1918年（大正7年）：倉敷紡績万寿第二工場が建設。
1927年（昭和2年）4月1日：都窪郡倉敷町、大高村と対等合併し、新たな倉敷町が発足。同日、万寿村は廃止。

当時の主要施設

倉敷駅
倉敷紡績万寿第一工場
倉敷紡績万寿第二工場
万寿尋常小学校（現在の倉敷市立万寿小学校）

地域

当時の管轄地域は、現在の倉敷市の一部です。

万寿: 大内、川入（川入、寿町）、浜（浜町、北浜町、浜ノ茶屋、日ノ出町、昭和1丁目）、平田、大島、福島
倉敷: 浜（美和、幸町、昭和2丁目）
中洲: 八王子（八王子町）
* 老松: 日吉庄（日吉町、石見町）

万寿村は、現在の倉敷市の発展に大きく貢献した村であり、その歴史は今も倉敷の地に息づいています。

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