佐上信一

佐上信一の生涯

生い立ちと学歴

佐上信一（さがみ しんいち）は1882年12月19日に広島県佐伯郡五日市村に生まれました。父は佐上兵次郎で、彼は広島県立一中（現在の広島県立広島国泰寺高等学校）や第一高等学校を卒業後、東京帝国大学（現・東京大学）を卒業しました。

内務省時代

佐上は大学卒業後、高等文官試験に合格し内務省に入省します。1916年には内務書記官として土木局道路課長に就任し、以降数々の要職を歴任しました。特に、1922年には内務省参事官兼内務大臣秘書官に任命され、道路法の起草に尽力しました。この法律は日本の道路政策の基礎を築くものであり、法学界でも模範的な立法として評価されました。

他にも懸案だった様々な地方行政の問題に取り組み、特に1925年から1927年にかけて岡山県知事、長崎県知事、そして1929年からは京都府知事を務めた時期には、地域レベルでの行政改革も進めました。

九州での活動

長崎県知事として、佐上は長崎盲学校の県立移管に努め、地域の福祉向上に寄与します。京都府知事としては、伏見市と近隣の26町村を京都市に編入するプロジェクトを成し遂げ、地域の一体化を促進しました。また、国産初のホームスパンの生産を牽引し、地元の経済発展にも寄与しました。

北海道庁長官としての役割

1931年10月、佐上は北海道庁長官に就任します。当時、北海道は冷夏による農業の凶作に悩まされていました。この問題を解決するため、佐上は現地視察を行い、農業の合理化と新しい農業計画を策定しました。その結果「根室原野農業開発5ヵ年計画」を導入し、気候に適したてん菜や酪農への転換を進めました。この活動により、現在の根室管内は日本一の酪農地帯となり、佐上は「酪農の父」と称されるまでに功績を残しました。彼の名を冠した胸像も別海町に建立されています。

その他の業績

佐上は、大雪山国立公園の範囲拡張に関する重要な役割を果たし、北海道内の自然環境保護にも寄与しました。また、趣味である高山植物の採集を通じて、多くの植物を道内に植樹することを奨励しました。

北海道では、雪印乳業や各地の碑文など、佐上の業績を見ることができ、彼の名は広く知られています。さらに、酪農学園の前身となる機関の設立にも尽力し、教育分野でもその影響を残しました。

著書と親族

著名な著書には『道路法之概要』があり、その後の政策設計に影響を与えました。彼の家庭には二男・佐上武弘（大蔵官僚）や娘婿の翁久次郎（内務官僚）もいるなど、家族も内務官僚の道を歩んでいます。佐上信一は1943年11月29日に亡くなりますが、彼の功績は今も多くの人々に評価されています。

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