万雷の歓呼

映画『万雷の歓呼』の詳細

『万雷の歓呼』(ばんらいのかんこ、英題: Thousands Cheer) は、1943年にアメリカ合衆国で制作されたミュージカル・コメディ映画です。監督はジョージ・シドニーで、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーによって公開されました。この映画は、当時第二次世界大戦で士気を高めることを目的として制作されたもので、観客に明るさとエンターテインメントを提供することを狙いとしています。

映画の概要

『万雷の歓呼』は基本的に二部構成となっています。前半部分では、空軍に志願するも陸軍に配属されたエディ（ジーン・ケリー）を主人公にしたロマンティック・コメディが描かれます。エディは訓練期間中、部隊長の娘であるキャスリン（キャスリン・グレイソン）に恋に落ちます。キャスリンは歌手としての活動を休止し、軍を慰問するために歌を歌っています。この物語の中では、キャスリンが赤ん坊の頃に両親が別れたことから長らく会えなかった父親と再会し、彼らを再び結びつけるために奮闘する姿も描かれます。キャスリンは複数の楽曲を披露し、エディは特に有名なモップを使ったダンスで観客を魅了します。

後半は、MGMの多くのミュージカル・スターやコメディ・スターが登場するショーがメインとなります。この部分では前半の物語がほとんど無視され、ミッキー・ルーニーが司会を務め、キャスト全員が本人役で登場し、コメディ、歌、ダンスを織り混ぜたパフォーマンスが展開されます。

キャストの紹介

本作には多彩なキャストが揃っています。キャスリン役のキャスリン・グレイソンとエディ役のジーン・ケリーをはじめ、メアリー・アスター（ヒラリー役）、ジョン・ボールズ（ビル役）、ベン・ブルー（チャック役）、フランセス・ラファティ（マリー役）などが出演しています。また、後半のショーにはジュディ・ガーランドやルシル・ボール、レナ・ホーンらがゲストとして登場し、華やかなパフォーマンスを披露します。

さらに、ピアニスト兼指揮者のホセ・イトゥルビが映画の前後編に出演しており、彼にとって映画初出演となります。イトゥルビは以降、MGMのミュージカル作品にも多く出演します。

使用されている楽曲

映画の中には数多くの魅力的な楽曲が含まれています。特に、エディがモップを用いて踊る「Let Me Call You Sweetheart」や、レナ・ホーンが参加する「ハニーサックル・ローズ」などが挙げられます。エレノア・パウエルによるソロのタップダンスや、ジュディ・ガーランドが歌唱する「The Joint is Really Jumpin' in Carnegie Hall」も見逃せません。

また、各楽曲の中にはクライマックスで複数のパフォーマーが歌唱する感動的な演出もあり、特に「I Dug a Ditch in Wichita」はテーマ曲として多様なアレンジで流れる場面が特徴的です。映画の最後には、グレイソンが「United Nations on the March」を歌い、平和への想いを伝えます。

評価と受賞歴

『万雷の歓呼』は興行的にも成功を収め、アメリカとカナダで$3,751,000、その他の地域で$2,135,000の興行収入を得るなど大きな成果をあげました。また、アカデミー賞では撮影賞、作曲賞、美術賞の3部門にノミネートされています。

さらに、2004年にはアメリカン・フィルム・インスティチュートにより、楽曲「ハニーサックル・ローズ」がアメリカ映画の主題歌ベスト100に選出されるなど、高い評価を受けた作品となりました。

総括

『万雷の歓呼』は、戦争の最中にあたるアメリカ社会において、希望と勇気を与えた重要な作品です。音楽とダンスが彩り豊かに織り交ぜられ、登場人物の恋愛模様や希望のメッセージを描く本作は、今なお多くの観客の心を惹きつける魅力を持っています。

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