三上卓

三上卓: 国家主義者としての足跡

三上卓（みかみ たく）は、1905年3月22日に佐賀県で生まれた海軍軍人兼政治活動家で、最終階級は海軍中尉である。国家主義の思想に基づき、第二次世界大戦の前後で様々な事件に参加し、青年世代の思想形成に寄与した。彼の著名な業績としては、「青年日本の歌」の作詞があげられる。

生い立ちと教育

三上は、当時北鮮日日新聞社長だった三上新の子として育ち、佐賀中学校を経て、大正15年に海軍兵学校を卒業した。同級生の中には、後に著名な人物となる山階宮萩麿王や福村利明がいた。この頃から三上は、国家の行く末を考える思想に触れ始めた。

軍人としての活動

1926年に海軍兵学校を卒業し、三上は海軍に入隊。1932年、重巡洋艦「妙高」の乗組員として従事する傍ら、その年の五・一五事件では、犬養毅首相の襲撃に関与した。この事件は、若い海軍将校たちの不満から生まれたものであり、三上はこの動きの一翼を担った。

その後、彼は反乱罪での起訴により死刑を求刑され、結果的に禁錮15年の判決を受けて服役することとなった。この経験が、彼の政治活動に深い影響を与えただろう。この刑期は1938年に仮出所、再度活動を開始するきっかけとなった。

提唱と結婚

仮出所後、三上は1940年に「高山彦九郎」という著作を発表し、皇道翼賛青年連盟を設立。そして1941年には、近衛文麿のブレーンとして活動する「ひもろぎ塾」を設立し、政治活動を続けた。1939年には同郷の陸軍大佐・宇都宮三千雄の娘と結婚し、国家主義の考え方を共有する家庭を築いた。

戦後の公職追放と密輸事件

戦後、彼は公職追放の憂き目に遭い、その後も様々な事件に関与することになる。1950年、香港からの密輸事件の首謀者として懲役5年の判決を受け、服役した。これらの経験を通じて、彼は日本の政治と国家についてますます強い関心を抱くことになった。

三無事件と最期

1961年には三無事件に参加したとして逮捕されたが、起訴猶予で釈放された。1971年、伊豆で66歳の生涯を終えた。三上卓は、戦前から戦後にかけて日本の政治と国民の思想に影響を与えた人物として、後世に名を刻んでいる。彼が遺した「青年日本の歌」は多くの若者に影響を与え、国家の再生を求める力強いメッセージとなった。

親族について

三上には、北鮮日日新聞社の社長を務めた父親、宇都宮三千雄の娘である妻がいる。彼女は93歳で亡くなり、三上の活動を支えた重要な存在であった。妻の家族背景も興味深く、彼女の姉は佐賀選挙区から衆議院議員に選出された田口文次の息子に嫁いだ。

結論

三上卓は、海軍軍人としての活動と国家主義の思想を理論化・実践した重要な人物であり、日本の歴史における影響力ある存在であった。彼の生涯は、当時の政治状況と青年層の思想を映し出している。

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