三井浩二

三井浩二：北海道から西武ライオンズへ、そして指導者へ

三井浩二氏は1973年、北海道足寄郡足寄町に生まれました。左投左打の投手として、高校時代からその才能を注目されていました。1991年のドラフト会議では、阪神タイガースと福岡ダイエーホークスから4位指名を受け、競合の末ダイエーが交渉権を獲得しましたが、三井氏は社会人野球の新日本製鐵室蘭への進路を選びました。当時のインタビューでは、プロ入りへの不安を語っていたと伝えられています。

新日本製鐵室蘭ではチームのエースとして活躍し、都市対抗野球では補強選手として2年連続で先発登板を果たすなど、その実力を発揮しました。その後、チームの統廃合に伴い新日本製鐵広畑へ転籍。そして2000年、西武ライオンズへの入団を表明し、ドラフト2位で指名を受けました。契約金1億円、出来高5000万円、年俸1300万円という好条件でプロ入りを果たしました。

2001年、プロ初勝利を含む3勝を挙げ、二軍でも活躍。イースタン・リーグ優勝、ファーム日本選手権優勝に貢献し、MVPにも輝きました。翌2002年にはスクリューボールを習得し、先発と中継ぎで活躍。41試合に登板し10勝を挙げ、防御率リーグ5位という好成績を収め、チームのリーグ優勝に大きく貢献しました。この活躍により、オールスターゲームにも出場を果たしています。2003年も10勝以上を挙げましたが、防御率は5点台に悪化。2004年は9試合の登板に終わり、2勝という成績に終わってしまいました。

2005年シーズン後半からは中継ぎに転向。28試合に登板しましたが、防御率4.95と安定性に欠けました。同年、千葉ロッテマリーンズとのプレーオフ第1ステージで敗戦投手となり、チームのプレーオフ敗退の一因を担いました。2006年からは本格的に中継ぎに専念。石井貴に次ぐチーム2位のホールド数を記録し、防御率は1点台と安定した投球を見せました。2007年には自己最多の47試合に登板、27ホールドポイント、防御率2.22を記録するなど、チームの勝利に貢献しました。しかし2008年は防御率7点台と不振に陥り、シーズン終了後にポスティングシステムを利用することを申請。西武ライオンズ3人目、35歳での申請は史上最高齢でした。しかし入札はなく、再申請も失敗に終わり、西武と再契約を結ぶことになりました。この「入札されなかった選手が同一年度内に再度ポスティングシステムを利用すること」、「2回続けて応札がなかったこと」は共に史上初のことでした。

2009年も不調を抜け出せず、19試合の登板で防御率6.23という結果に終わりました。10月2日には戦力外通告を受け、12球団合同トライアウトに参加。2010年には東北楽天ゴールデンイーグルス、福岡ソフトバンクホークスの入団テストを受けましたが、合格とはならず、3月30日に現役引退を表明しました。

現役引退後は、J SPORTSのメジャーリーグ中継解説者として活躍。2011年には埼玉県入間市に「入間野球道場」を開設し、指導者としての道を歩み始めました。西武ライオンズOBの大友進氏、加世田美智久氏が講師を務めました。2015年には駿河台大学野球部コーチに就任。同年には「三井杯十勝少年野球チャンピオンシップ大会」を開催するなど、北海道の野球界にも貢献しています。さらに、野球に関する情報を発信する「Baseball MAPS」を立ち上げ、代表を務めています。2020年には社会人野球チームSUNホールディングス硬式野球部の投手コーチに就任しています。

三井浩二氏は、地元北海道足寄町の出身であるシンガーソングライターの松山千春氏と交流が深く、自身のシンカー系の変化球を「チハルボール」と命名。文化放送ライオンズナイターでは「大空と大地の申し子」と呼ばれ親しまれていました。息子さんも野球選手として活躍しており、浦和学院高校で4番打者を務めるなど注目を集めていました。2024年のドラフトではプロ志望届を提出しましたが、指名には至りませんでした。

三井浩二氏の野球人生は、北海道から西武、そして指導者へと続く、長く充実したものとなっています。その経験と知識は、これからも日本の野球界に大きく貢献していくことでしょう。

もう一度検索