三井電気軌道

三井電気軌道株式会社の歴史

三井電気軌道株式会社（みいでんききどう）は、福岡県において大正時代に鉄道と電気事業を行った事業者です。会社設立は1912年で、設立後に久留米市や甘木町、福島町を結ぶ路線を整備しました。この鉄道は、後に九州鉄道、さらには西日本鉄道の路線の一部となり、地域の発展に寄与しました。

会社設立から全通までの沿革

三井電気軌道は、1912年4月23日に北野町で設立されました。設立は素封家の鈴木利十が中心となり、資本金は100万円でした。設立に先立ち、1911年に北野町から路線特許を取得し、この計画が実現に向かって進められました。主な目標は、筑後地方の中心都市である久留米市と甘木町・福島町を短距離で結ぶ電気鉄道を作ることでした。

1913年には、久留米市の日吉町から福島駅までの約12.4キロメートルの路線が開通し、続いて1915年には北野駅までの路線が開業しました。これにより、初期の路線は段階的に拡大し、1916年にはさらに延伸されて筑後川を越えることが実現しました。

また、1915年2月には電気供給事業も始まり、地域の電力供給にも貢献するようになりました。1917年には資材高騰の影響を受けたため、北野線の一部を非電化にすることが許可されましたが、後に電化の規格に戻されました。1921年には北野駅から甘木駅間の開通が実現し、ついに全線の運行が開始されました。

九州鉄道への合併

1924年4月、九州鉄道が開通すると、三井電気軌道との路線が交差し、両者の円滑な運行のため合併が望ましいとの判断に至りました。1924年6月30日に行われた合併により、三井電気軌道は九州鉄道の一部となりました。この合併により、三井電気軌道の電気事業も九州鉄道が引き継ぐことになり、地域の発展をさらに促進しました。

年表

三井電気軌道の主な出来事を以下の年表にまとめます。

• - 1911年（明治44年）

- 8月10日 : 路線の特許取得。
- 10月4日 : 久留米市から福島町までの特許取得。

• - 1912年（明治45年）

- 4月23日 : 会社設立。

• - 1913年（大正2年）

- 7月18日 : 日吉町駅 - 福島駅間の開業。

• - 1915年（大正4年）

- 2月27日 : 電気供給事業の開業。
- 10月17日 : 宮ノ陣駅 - 北野駅間の暫定運行開始。

• - 1921年（大正10年）

- 12月8日 : 北野駅 - 甘木駅間の開業。

• - 1924年（大正13年）

- 3月13日 : 宮ノ陣駅 - 渕ノ上駅間の開業により全線開通。
- 6月30日 : 九州鉄道に合併。

未成線と電気供給事業

また、三井電気軌道は合併前にいくつかの未成線の特許も取得していましたが、合併後には失効しました。その一方で、電気供給事業は九州鉄道へ引き継がれ、さらには西日本鉄道に引き継がれることになりました。最終的には、1943年に九州配電に譲渡されました。

三井電気軌道の歴史は、地域の生活や経済に大きく貢献し、九州地方の交通網の発展に寄与した重要な事例の一つとして、今なお語り継がれています。

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