三代直樹

三代 直樹（みしろ なおき）は、1977年3月16日に島根県松江市で生まれた日本の陸上競技選手であり、現在は指導者としても活動している。専門種目は長距離で、島根県立松江商業高等学校を経て順天堂大学を卒業後、富士通陸上競技部に所属した。身長166cm、体重53kg。

順天堂大学時代には、トラック競技の長距離種目で顕著な成績を収めた。特に、日本学生対校選手権（日本インカレ）では、同学年のダニエル・ジェンガ氏や小林雅幸氏、日本大学の山本佑樹氏ら当時のトップ選手たちと優勝を争い、最終学年となった1998年には、5000メートルと10000メートルの両種目で二冠を達成した。

大学駅伝においても主力として活躍。東京箱根間往復大学駅伝競走（箱根駅伝）には、入学初年度の1996年から連続出場した。2年次にあたる1997年以降は順天堂大学のエースとしてチームを牽引し、駒澤大学の藤田敦史氏や東海大学の諏訪利成氏ら、他校のエース選手としのぎを削る名勝負を繰り広げた。

特に、1999年の第75回箱根駅伝では、重要区間である「花の2区」を担当。神奈川県横浜市から箱根町の芦ノ湖畔に至る難コースで、当時の区間記録保持者であった渡辺康幸氏（早稲田大学OB）の記録を2秒上回る1時間06分46秒を叩き出し、区間新記録を樹立した。この快走は、順天堂大学がこの大会で総合優勝を果たす上で極めて大きな貢献となった。この三代氏の記録は、2008年に山梨学院大学のメクボ・ジョブ・モグス氏によって23秒更新されるまで破られなかったが、アップダウンの激しい終盤区間における三代氏の粘り強い走力は高く評価された。また、「2区日本人最速」の記録としても長らく保持されたが、2019年の第95回大会において、順天堂大学の後輩にあたる塩尻和也氏が1時間06分45秒を記録し、20年ぶりにその日本人最高記録が塗り替えられた。

富士通に入社して実業団選手となってからも、国内外の主要大会で活躍を続けた。1999年にスペインのパルマ・デ・マヨルカで開催されたユニバーシアード競技大会では、5000メートルで銅メダル、10000メートルで銀メダルを獲得し、二種目でメダルを手にした。国内最高峰の大会である日本陸上競技選手権大会でも上位入賞を果たすなど、安定した成績を残した。これらの実績により、エドモントンで開催された世界陸上競技選手権大会など、多くの国際大会に日本代表として出場した。

マラソンにも挑戦し、2003年の東京国際マラソンで初マラソンを踏んだ。このデビュー戦で2時間10分33秒のタイムをマークし、4位に入る健闘を見せた。

しかし、実業団選手として競技に取り組む中で、坐骨神経痛など慢性的な脚の痛みに悩まされるようになった。しばしば「脚が抜ける」と感じるような症状に苦しみ、万全なコンディションでの競技継続が困難となった。度重なる怪我の影響もあり、2008年の姫路城ロードレース大会を最後に、惜しまれながらも競技生活から引退することを決意した。

現役引退後、三代氏は所属先である富士通に留まり、現在は同社の広報部門において活動を行っている。

自己記録

5000m: 13分36秒79（2000年）
10000m: 27分59秒39（2000年）
* マラソン: 2時間10分33秒（2003年）

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