三冠 (柔道)

柔道三冠：日本の柔道家にとって最高の栄誉

日本の柔道界において、最高峰の称号として知られる「柔道三冠」。これは、全日本柔道選手権大会、世界柔道選手権大会、そしてオリンピック柔道競技の3大会全てで優勝を果たす偉業を達成した柔道家に与えられる、非公式ながら非常に名誉ある称号です。

男子では1964年、女子では1988年からオリンピックに柔道競技が正式採用されたことにより、この「三冠」が現実のものとなりました。現在までに、男子8名、女子3名という限られた精鋭のみが、この栄光を手にしています。

三冠を構成する大会

1. 全日本柔道選手権大会: 1948年から続く国内最高峰の大会です。毎年4月29日、日本武道館で開催され、体重無差別で日本一の座を争います。特に重量級においては、オリンピックや世界選手権の代表選考にも大きく影響する重要な大会です。女子の大会は「皇后盃全日本女子柔道選手権大会」として1986年に創設されました。出場資格が日本国籍保持者に限定されているため、柔道三冠の概念は日本国内の選手に限定されます。

2. 世界柔道選手権大会: 国際柔道連盟が主催する世界選手権です。男子は1956年、女子は1980年から開催されており、各階級で世界一の座を決定します。オリンピック開催年を除き、ほぼ毎年開催されています。

3. オリンピック柔道競技: 三冠を構成する大会の中で、男女ともに最も導入が遅かった競技です。男子は1964年東京オリンピックで初採用、女子は1988年ソウルオリンピックで公開競技として初実施、1992年バルセロナオリンピックから正式種目となりました。4年に一度の開催で、各階級は国別1名のみの出場となるため、三冠達成におけるハードルは非常に高いものとなっています。

柔道三冠達成への道のり

これらの大会を全て制覇するには、並外れた実力と、長きに渡る厳しい鍛錬が必要です。最初の三冠達成者は猪熊功選手です。1959年の全日本選手権優勝を皮切りに、1964年東京オリンピック、1965年世界選手権と、見事3大会を制覇しました。

柔道体重別三冠

全日本選手権は体重無差別級のため、重量級の選手に有利な傾向があります。そこで、軽量級や中量級で活躍する選手も評価するために考案されたのが「柔道体重別三冠」です。これは、全日本選手権の代わりに「全日本選抜柔道体重別選手権大会」を加えたものです。選抜体重別は1966年（男子）・1978年（女子）から開催され、オリンピックや世界選手権の代表選考にも関わる重要な大会です。現在までに男子18名、女子9名が体重別三冠を達成しています。

高校柔道三冠

高校生の柔道界にも「三冠」が存在します。全国高等学校柔道選手権大会（高校選手権）、金鷲旗高校柔道大会、全国高等学校総合体育大会柔道競技大会（インターハイ）の3大会全てで団体優勝を果たした高校に与えられる称号です。男子は1979年、女子は2006年から三冠が成立可能となりました。

これらの大会は、それぞれ開催時期や競技方法、参加資格などに違いがあり、高校柔道界の頂点を目指す選手、そしてチームにとって、最高の目標となっています。

まとめ

「柔道三冠」は、日本の柔道界における究極の目標であり、その達成者はまさにレジェンドとして称えられます。本記事では、三冠を構成する大会の概要や歴史、そして三冠達成者の功績などを紹介しました。日本の柔道の歴史と伝統、そしてその未来を担う選手たちの活躍に、今後も注目していきましょう。

もう一度検索