三十一年式速射砲

三十一年式速射砲の概要

三十一年式速射砲は、日本陸軍が明治31年（1898年）に制式化した大砲です。この砲は、三十一年式野砲と三十一年式山砲の2種類が存在し、著名な銃砲設計者である陸軍中将有坂成章が設計したことでも知られています。この砲は、日露戦争において日本陸軍の主力砲として使用され、その戦闘能力が高く評価されました。

主なスペック

• - 口径: 7.5 cm
• - 射程:

- 野砲: 7,800 m
- 山砲: 4,300 m

デザインと構造

この砲の特筆すべき点は、砲身に取り付けられた砲耳が車軸を兼ねていることです。このため、砲身、砲耳、車軸が十文字型の形状をしており、安定性が高い構造になっています。日露戦争中には、仰角や防楯の改良が行われ、砲の性能をさらに向上させる工夫がされました。特に日本陸軍は、射撃技術が高く、砲弾の性能を駆使し、ロシア軍に対して優位に立つことができたのです。

戦闘での役割

三十一年式速射砲は、日露戦争の陸戦での勝利に大きく貢献しました。特に、二十八サンチ榴弾砲や三十年式歩兵銃とともに戦闘に投入され、その成果がありました。また、戦後もこの大砲は後継の野山砲に取って代わられましたが、1930年代の兵器不足の際には歩兵砲として再度利用されました。

国際的な関与と販売

1916年には、三十一年式速射砲が100門、ロシア帝国に販売され、その44門はフィンランド内戦を経て、フィンランド軍に引き渡されました。また、1937年には42門と28,000発の弾薬がスペイン内戦の共和派に売却されましたが、フランコ派の妨害により、実際に使用されたかは不明です。

兵器の特徴

「速射砲」と名付けられた理由は、初めて無煙火薬を使用したことにあります。これにより、黒色火薬使用時の排煤作業が不要になり、発射リズムが改善されました。ただし、砲架自体には簡易な復座装置しか装備されておらず、射撃速度は理論上速さを競うものの、実際の射撃速度は1分間に2～3発程度と限られていました。

また、砲架を元の位置に戻す作業や、方向を変えるためには砲架ごと動かす必要があり、操縦の手間がかかりました。日本陸軍が本格的な駐退復座機を備えた火砲を導入するのは、三八式野砲の登場を待たなければなりませんでした。

弾薬と発射方法

この砲で使用される弾薬は分離薬莢式であり、弾丸と薬莢を一つずつ装填する必要があります。炸薬には黄色薬が使われており、効率的な発射が可能です。

結論

三十一年式速射砲は、日本陸軍における砲兵の能力を象徴する重要な兵器であり、日露戦争における勝利の鍵となった要素の一つです。その性能や戦闘での活躍は、多くの軍事史ファンや研究者に興味を持たれ続けています。

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