三千里 (1929年創刊の雑誌)

『三千里』の歴史と影響

『三千里』（さんぜんり、삼천리、サムチョンリ）は、1929年6月に京城府で創刊された日本統治下の朝鮮における月刊総合雑誌である。この雑誌は、趣味や時事を中心に幅広いテーマを扱い、当時の知識人や青年層から支持を受けた。編集・発行人を務めた金東煥を始め、李光洙、金東仁、鄭芝溶など多彩な執筆陣が参加し、各分野にわたる記事が掲載された。

創刊の背景と理念

創刊号が刊行されたのは1929年の6月12日で、当初はA5判で50ページ構成であったが、創刊号は特別にB5判の70ページで発行された。社告には、手頃な価格帯で誰にでも読まれ、捨てることなく楽しめる雑誌を作るという理念が示されていた。このような編集方針は、広範な読者層をターゲットにしたものであり、単なる娯楽を超えて、知識提供にも力を入れた。

内容と執筆陣

『三千里』では、主にゴシップや社会問題、政治、歴史など多様なテーマが取り上げられた。特に自由恋愛や女性運動についても肯定的な意見が見られ、執筆陣には名の知れた知識人たちが多かった。李光洙の自由恋愛論や、鄭芝溶と張勉などカトリック系の執筆者も多く、その結果、雑誌は文壇とも強いつながりを持つことになった。

知識層への影響

創刊当初から、地方都市や大都市の知識層、青年層に広く読まれ、1930年代には広がりを見せた。特に女性や性に関連した議論も軽視されず、一部は当時の社会におけるタブーを打ち破る一助ともなった。文芸講座や文学作品創作法の紹介なども行われ、多くの作家や作品に影響を与えたとされる。

発行の厳しい現実

『三千里』は、発行当初から様々な問題に直面した。特に日本統治下での言論統制が厳しく、しばしば原稿の押収や内容の削除を経験した。それでも、低俗と言われがちな話題に関しても、興味深い視点を提供し続けたため、一定の支持を得ていた。また、独立運動に対しても好意的に取り上げる姿勢を見せ、思想的な幅広さが評価された。

終焉とその後

しかし、1937年以降、次第に親日的な内容も増え、言論統制に応じざるを得なかった。1942年3月には『大東亜』に改名し、活動を続けるも、同年7月に廃刊となった。こうして、『三千里』は日本統治下における重要な文化的存在であり続けた。彼らの活動は、韓国近代文学や文化の発展に多大な影響を与えたとの見方もある。

参考文献と関連項目

その後の研究や議論を通じて、当時の出版や読書文化がどのようにあったのかを解明するための資料も残されている。『三千里』の存在は、日本統治下における朝鮮の出版文化において重要な位置を占めており、続く研究の一助となるだろう。

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