三升家小勝 (5代目)

五代目 三升家 小勝の生涯と業績

五代目三升家小勝（みますや こかつ）は1858年7月16日に江戸麻布で生まれ、本名は加藤金之助です。彼は明治から昭和にかけて活躍した名高い落語家であり、落語の伝承と発展に大いに寄与しました。実の子は同じく落語家として活動した三升家勝太郎です。

幼少期と師匠への入門

幼い頃に父を失った小勝は左官として奉公生活を始めましたが、16歳になると四代目翁家さん馬の門下に入門し、「さん八」という名前で活動を始めました。しかし、師匠であるさん馬の急逝により、彼は五代目林家正蔵の一座に加わり、主に幽霊役として地方を巡ることになりました。

演芸界での成長と転機

その後、小勝は三代目鈴々舎馬風門下に移籍し、「風鏡」と名乗るようになります。しかし、1876年に一時元の業界を離れ、役者として中村梅三郎に入門し、お女三と名乗り女方役に挑戦しましたが、やがて再び落語の魅力に引き寄せられた彼は正蔵と再会後、再度落語家の道を歩み出します。

多岐にわたる活動

小勝は落語家活動を再開する一方、禽語楼小さん門下で「小蝠」、三代目春風亭柳朝門下で「桃多楼團語」を名乗り、さらには春風亭燕柳として活動を続けました。その後、再び休業し、妻の縁で工場の監督や神主としての仕事も経験しました。

1900年にはパリ万国博覧会に芸者の世話役として渡仏、肩書きは料理人という異色の経歴も持ちます。帰国後、再度三代目柳朝門下で落語家に復帰し、1903年には春風亭柳條として真打昇進を果たします。

名跡襲名と協会活動

1907年に「五代目三升亭小勝」を襲名、1918年には亭号を「三升家」に変更し、落語協会の3代目会長に就任。このように、彼は落語界の中で重要な位置を占めるようになりました。

最晩年と影響

1938年末、心臓病の影響で療養を余儀なくされましたが、一時回復し鈴本演芸場で高座に上がるも、再び病状が悪化。1939年5月24日、彼は自宅でこの世を去りました。享年82歳でした。

小勝の辞世の歌「永々とご贔屓様となりました。ちょいとこちらで代わり合います。」は、彼の人柄を表現していると言えます。また、大正から昭和にかけて数多くのSPレコードを残し、後世に多大な影響を与えました。

演目と得意分野

小勝は滑稽噺が得意で、その独特な毒舌とユーモアで観客を魅了しました。代表作には『素人鰛』『小粒』『立浪』『権助芝居』『片棒』『反魂香』『二十四孝』『三方一両損』『按摩小僧』などがあり、地噺として『三国誌』『熊坂』なども得意としました。また、彼の話の中には「まったくの話が」という口癖がしばしば現れます。

まとめ

五代目三升家小勝はその多彩な経歴と演目で、多くの落語ファンに愛され続けています。彼が作り上げたユーモラスな世界は、今なお多くの人々に楽しまれ、落語の文化を支えています。

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