三合会

三合会とは

三合会（さんごうかい）は、香港を拠点とする犯罪組織の総称です。単なる裏社会という言葉で表されるものではなく、具体的な組織ネットワークを指します。英語圏では「Triad」と呼ばれています。秘密結社としての側面が強く、その全容は断片的にしか知られていません。

香港では、57もの組織が存在するとされ、構成員は数十人から数万人に及ぶものまで様々です。有名な組織としては、「14K」や「潮幇」、「和字頭」などが挙げられます。その影響力は香港、マカオ、台湾、中国本土などのアジア圏だけでなく、欧米やオーストラリアなど、世界各地の華人社会に及んでいます。

歴史

起源

三合会の起源は清朝時代に遡ります。当時、清朝の支配に抵抗するために結成された反体制的結社がその源流とされています。同じような組織としては天地会（洪門）などが存在しました。これらの結社の目的は、漢民族の復権、すなわち清朝の打倒と満州族の排斥でした。これらの組織は中国各地に広がり、多くのグループに分裂しました。その一つが三合会です。

三合会という名称は、「天」「地」「人」の三つの要素の調和を表しており、三角形を象徴として使用しました。当初は反清的な秘密結社であり、道徳的な人物もいましたが、盗みや殺害、密売などの犯罪行為を行う者も多く、抗日テロも実行しました。

香港への移動

1949年に中国共産党が中国大陸を支配すると、組織犯罪は厳しく取り締まられるようになりました。そのため、三合会のメンバーは活動を続けるために、当時イギリスの植民地であった香港へ移動しました。1931年頃には、香港には8つの主要な組織が存在し、それぞれが異なる地域を活動範囲としていました。

1956年、香港で大規模な暴動が発生した後、政府は三合会に対する取り締まりを強化しました。

香港社会への浸透

1960年代から1970年代にかけて、三合会は香港社会に深く浸透し、「黒社会の首都」とも呼ばれるようになりました。警察が三合会を利用して事件を解決することもあった一方で、三合会の有力者が警察に協力を求めることもありました。1970年には、香港警察の3分の1が黒社会のメンバーか関係者であったという指摘もあり、「黒警」という言葉も生まれました。

1974年に廉政公署が設立されると、腐敗した状況は抑制され、各組織の勢力範囲は縮小していきました。表立った経済活動の利益も減少し、三合会の活動は地下に潜っていきました。

1980年代以降

1980年代から1990年代にかけて、三合会は特定の経済分野を独占し始めました。例えば、新義安は香港の映画産業をほぼ完全に支配しました。この時期には、三合会を題材とした香港ノワール映画が多く制作されました。

香港返還後、中国本土と同様の取り締まりが強化されることが懸念されましたが、中国政府は三合会の存在を容認する方針を打ち出しました。これにより、三合会は香港政府や警察と共存を続け、中国本土との結びつきを強めました。民主派からは、2014年の香港反政府デモや2019年の逃亡犯条例改正案をめぐる抗議デモで、三合会が暴力を行使していると批判されています。

香港の法律では、三合会を含む犯罪組織は違法とされており、香港警察には三合会対策課が存在します。

組織構造

三合会は秘密結社であり、その内部構造は複雑です。組織の階層構造や役割分担は明確にされていませんが、各組織が独自のルールや規律を持っていると考えられます。

まとめ

三合会は、香港を中心に活動する犯罪組織であり、その歴史は中国の反体制的な秘密結社にまで遡ります。長年にわたり、香港社会に深く浸透し、様々な経済活動に関与してきました。その実態は依然として不明な点が多いですが、世界各地の華人社会に影響を与えている組織であることは間違いありません。

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