三宝寺 (練馬区)

三宝寺（さんぼうじ）

三宝寺は、東京都練馬区石神井台に位置する真言宗智山派の寺院で、山号を亀頂山と称します。地元では「石神井不動尊」の名で親しまれ、関東三十六不動霊場の第十一番札所としても知られています。その歴史は古く、室町時代初期に開創され、江戸時代には多くの末寺を擁する有力な寺院でした。境内には、歴史的な建造物や文化財が数多く残り、パワースポットとしても注目されています。

歴史

三宝寺は、応永元年（1394年）に鎌倉の大楽寺の幸尊法印によって開かれました。当初は現在の禅定院付近に位置し、本尊は勝軍地蔵でした。当時この地を治めていた豊島氏の祈願寺として、石神井城と共に築かれたと考えられています。

文明9年（1477年）の江古田・沼袋原の戦いで豊島氏が滅亡した後、太田道灌によって現在の場所に移されました。その後も、後奈良天皇の勅願所となり、後北条氏や徳川家康からも庇護を受け、寺領を安堵されるなど、広く尊崇を集めていました。

江戸時代には、6つの塔頭と50以上の末寺を持つ大寺院として繁栄し、真言宗の教学においても重要な役割を担っていました。寛永2年（1625年）と正保元年（1644年）には、徳川家光が鷹狩の際に立ち寄ったことから、山門は「御成門」と呼ばれるようになりました。

明治維新後、神仏分離や寺領の上地により寺勢は衰退し、明治7年（1874年）には火災で堂宇を焼失してしまいます。その後、大正時代に入って再建計画が立ち上がりましたが、関東大震災や太平洋戦争の影響で遅延し、本堂が再建されたのは昭和28年（1953年）のことでした。

境内

現在の境内には、本堂をはじめ、大師堂、御成門、鐘楼堂、長屋門、観音堂など、多くの堂宇や史跡が点在しています。

本堂: 大正11年（1922年）に着工し、昭和28年（1953年）に落慶した建物。
大師堂（奥の院）: 昭和48年（1973年）に改築、平成2年（1990年）に移建された。
御成門: 文政10年（1827年）に建てられた山門で、境内最古の建築物。徳川家光が鷹狩の際に立ち寄ったことから、この名で呼ばれる。
鐘楼堂: 昭和48年（1973年）に改築。梵鐘は延宝3年（1675年）の鋳造で、練馬区指定文化財。
長屋門: 昭和35年（1960年）に移築。もとは勝海舟邸の門で、兎月園から移設された。
観音堂: 観音菩薩が祀られている。
「守護使不入」の碑: 寺領が不可侵であることを示す碑。
田島鉄平君之碑: 養蚕・製糸に貢献した人物の記念碑。
根本大塔: 平成8年（1996年）に落慶した木造多宝塔。一層目が方形、二層目が円形。
平和大観音像: 高さ9mの十一面観音像。開創600年記念事業として建立。
大黒堂・地蔵堂: 大黒天と地蔵菩薩を祀る。地蔵堂には「六道曼荼羅」が描かれている。

関連施設

三宝寺の関連施設として、以下のようなものがあります。

宝亀閣: 道路を挟んで向かいにある斎場。
最勝寺: 関町東にある別院。かつては三宝寺の塔頭だったが、後に復興した。

周辺施設

三宝寺は、周辺の施設とも深い関わりがあります。

石神井公園: 隣接する石神井公園の三宝寺池は、三宝寺に由来する。
道場寺: 三宝寺に隣接する寺院。
石神井氷川神社: かつては三宝寺が別当寺であった。

アクセス

西武池袋線石神井公園駅から徒歩約20分。
西武バス、みどりバス「JA東京あおば」下車、徒歩4分。
* 拝観は日中の時間帯のみ無料で可能。

三宝寺は、その長い歴史と文化的な価値から、多くの人々に親しまれています。訪れる際には、その由緒ある歴史と、美しい境内をゆっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。

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