三尾発電所

三尾発電所の概要

三尾発電所（みおはつでんしょ）は、長野県木曽郡木曽町三岳に位置する関西電力の水力発電所です。この発電所は、木曽川水系の王滝川に建設された牧尾ダムと木曽ダムを利用した混合揚水発電を行っており、1963年に運転を開始しました。最大出力は37,000キロワットで、様々な電力需要に応える重要な役割を担っています。

設備構成

三尾発電所はダムと導水路を組み合わせたダム水路式発電所です。設計では、最大使用水量は30.90立方メートル毎秒で、有効落差は137.20メートルに達します。水源は水資源機構が管理する牧尾ダムの貯水池で、取水設備には69.40メートルの高さを持つ取水塔があります。また、導水路は約2.8キロメートルのトンネルを経て水を運び、発電所に至ります。このトンネルは圧力トンネルで構成されており、地下の不良地質を経て安全に水を供給します。

導水路の終点には高さ74メートルのサージタンクが設置され、発電には水圧鉄管が使用されています。水車発電機は揚水ポンプを兼ねる立軸単輪単流渦巻フランシス型ポンプ水車が採用されています。発電には三相交流同期発電電動機が使われ、その容量は37,000キロボルトアンペアです。発電所は自己完結型の鉄筋コンクリート構造で、地上2階、地下8階の構成になっています。

放水設備と下部貯水池

発電所からの放水は王滝川の木曽ダム調整池に至る放水路を通じて行われます。放水路は1.195キロメートルの長さで、全線無圧トンネルで構成されています。この設計により、発電過程での水の効率的な供給と運用が可能となっています。

建設の経緯

三尾発電所の建設は、1961年3月に完成した王滝川牧尾ダムに関連しています。当初の計画では、愛知用水公団が主体となり発電所の建設が計画されていましたが、関西電力への委託に方針が変更されました。その結果、1963年に開設された三尾発電所は、当時の水力発電のニーズに応えるものとして設計されました。

工事は1960年7月に開始され、いくつかの工区に分けて進められました。工事は困難を伴いましたが、1963年には全工事が完了し、5月には営業運転を開始しました。その後、発電所の出力が増強され、現在では最大出力が37,000キロワットに達しています。

まとめ

三尾発電所は、長い歴史と豊かな技術力を背景に持つ水力発電所です。揚水発電を取り入れ、効率的に電力を供給するこの施設は、地域のエネルギー需要に応える重要なインフラとなっています。その過程で経済的な要素や環境への配慮が大きく反映されており、今後の運用にも期待が寄せられています。

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