王滝川

王滝川の概要

王滝川（おうたきがわ）は、長野県の木曽郡を中心に流れる一級河川であり、木曽川水系に属しています。流れは長野県木曽郡王滝村や木曽町を通り、最終的に木曽川に合流します。その全長は53.846キロメートルで、20以上の支流を有し、木曽川流域では最大の規模を誇る支川です。

地理的特性

王滝川の源流は、岐阜県との境に位置する継母岳の周辺にあります。川は御嶽山の南麓から流れ始め、最初は反時計回りに流れた後、東へ進路を変えます。この地域は国有林が広がり、特に御嶽山南麓では、白川、鯎川、瀬戸川などといった支流があり、かつては伊勢神宮の造営のための木曽ヒノキの備林として指定されていました。

また、王滝川の水源である御嶽山周辺は、年平均降水量が2500ミリメートルから3000ミリメートルに達し、水力発電などの重要な水源としての役割を果たしています。実際、川沿いに建設されたいくつかのダム——三浦ダム、王滝川ダム、牧尾ダム、常盤ダム（大島ダム）、木曽ダム——は特に水力発電に利用されています。中でも牧尾ダムは、愛知県名古屋市や知多半島に水を供給する重要な施設となっています。

歴史的意義

王滝川は歴史的にも多くの文献に登場しています。例えば、貞享2年（1685年）の貝原益軒による『岐蘇路記』では「おんたけ川」と記されています。また、文化2年（1805年）の秋里籬島の『木曽路名所図会』でも「御嶽川」として言及されています。さらに、宝暦7年（1755年）の松平君山の『吉蘇志略』や、天保9年（1839年）の岡田善九郎による『木曽巡行記』でも「王滝川」という名称が記されています。

このように王滝川は、古くから地域の重要な水源としてだけでなく、文化的にも多くの人々に認識されています。自然豊かな環境と歴史的に価値のある場所として、多くの人々に支持されています。

流域の出来事

王滝川の流域では、1984年に発生した長野県西部地震によって、濁川温泉が流出するという被害が出ました。この出来事は、川の流域が持つ自然環境の脆弱さを示すものであり、地域社会の復興に向けた取り組みが行われるきっかけともなりました。

王滝川はその美しい風景と歴史的な背景を併せ持ち、訪れる人々にとって貴重な体験の場となっています。自然と人間にとっての重要なつながりを提供している王滝川は、今後もその魅力を保ち続けることでしょう。

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