三峰山の戦い

三峰山の戦い：金朝滅亡への序章

1232年、現在の河南省禹州市付近で繰り広げられた三峰山の戦いは、金朝とモンゴル帝国の激突として歴史に刻まれています。この戦いは、金朝の滅亡を決定づける大きな転換点となりました。

戦いの背景

1230年、モンゴル帝国のオゴデイ・カアンは、金朝への大規模な侵攻を開始します（第二次対金戦争）。モンゴル軍は三方向から金朝を攻撃する戦略を取りました。オゴデイ率いる中軍、テムゲ・オッチギン率いる左翼軍、そしてトルイ率いる右翼軍です。トルイ軍は、南宋の領土を通過する際に、南宋との外交的摩擦を生じさせます。この摩擦は、後に戦局に影響を与えることになります。

一方、金朝は完顔陳和尚率いる精鋭部隊を擁していました。完顔陳和尚は、モンゴルに抵抗する様々な民族の兵士を率い、しばしばモンゴル軍を撃破する活躍を見せていました。金朝は黄河沿岸に兵力を集中させ、モンゴル軍の侵攻に備えていました。

しかし、1231年末、河中府がモンゴル軍に陥落すると、金朝軍は危機感を募らせます。完顔合達と移剌蒲阿率いる金軍は、完顔陳和尚の部隊と合流した後、順陽に駐屯していましたが、1232年1月、トルイ軍が漢水を越えて河南に侵入してきたという情報を受け、慌てて南方へ転戦します。

三峰山の激突

金軍は、モンゴル軍の誘引に翻弄され、河南一帯を焦土化された状況下で、補給もままならないまま、正月12日、鈞州付近でモンゴル軍と対峙しました。疲労困憊した金軍は、降り続く雨と雪の中、モンゴル軍と交戦を余儀なくされます。

正月15日、金軍の士気を高めるために、哀宗からの密旨が伝えられますが、移剌蒲阿はこれを無視し、進軍を継続します。モンゴル軍もまた、強行軍による疲労を抱えていましたが、雪中での戦闘や冬季の用兵には慣れていたため、金軍に比べれば優位に立っていました。

翌日、三峰山で両軍は激突します。モンゴル軍は金軍の猛攻を凌ぎ切り、塹壕から飛び出して疲弊した金軍を圧倒します。その後、オゴデイ率いる中軍が到着し、敗走する金軍を完全に打ち破りました。

戦いの結果とその後

三峰山の戦いは、金朝にとって壊滅的な敗北となりました。完顔合達は戦死、移剌蒲阿は捕虜となり処刑され、完顔陳和尚も自決しました。金朝は抵抗力を失い、1233年、開封が陥落し、滅亡への道を歩むことになります。

この敗戦後、モンゴル帝国は南宋に同盟を提案し、共同で金朝の残存勢力を掃討します。南宋は当初、モンゴルとの同盟に反対意見もありましたが、最終的に同盟を結び、金朝滅亡へと繋がっていくのです。三峰山の戦いは、東アジアの歴史を大きく変えた、重要な戦いと位置づけられます。

参考資料

『金史』
『元史』
『聖武親征録』
『宋史紀事本末』
『続資治通鑑』
その他、関連書籍多数

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