第二次対金戦争とは？意味をやさしく解説

第二次対金戦争

第二次対金戦争は、1230年から1234年にかけてモンゴル帝国と金朝の間で繰り広げられた重要な軍事衝突です。この戦争の結果、金朝は完全に滅亡し、モンゴル帝国の勢力が一層強化されました。以下では、本戦争の背景、経過、そしてその後の影響を詳しく見ていきます。

背景

モンゴル帝国は、1206年にチンギス・カンによって創設され、その後様々な地域に征服戦争を展開し名を馳せました。しかし、チンギス・カンの死後、その国家体制は脆弱であり、特に新たに即位したオゴデイの政権はその強化を急務としていました。そのため、金朝という古豪を滅ぼすことで、その権勢をアピールしようとしました。

一方、金朝は、第一次対金戦争で大きな打撃を受けたものの、依然として30万の兵力を持ち、潼関や開封を守っていました。このままでは容易に敗れる相手ではなく、モンゴル帝国は計画的な攻撃を練る必要がありました。

経緯

1230年、モンゴル帝国は本土をチャガタイが預かり、各軍を指揮する有力者を集結させました。特にオゴデイが率いる中軍は山西を経由し、金軍と対峙。時間を稼ぎつつ、金軍への圧力を高めました。

トルイ率いる右翼軍は早期に京兆を攻略し、その後開封南方へ進出。テムゲ・オッチギンの左翼軍はゆっくりと行軍することで地方住民の恐怖感を助長し、金軍の動きを制限しました。この戦略によって、金軍は南への退却を強いられ、結果的にモンゴル軍は開封を北、東、南から挟撃する形となります。

黄河南岸の金軍が南下する中、オゴデイの本隊が黄河を渡り、トルイが金軍との戦闘に突入。特に三峰山の戦いでは、普段より劣勢であったにも関わらず、トルイは金軍を武力で下し、この大敗北が金朝の抵抗を完全に終わらせました。124年には金朝は滅亡しました。

トルイの死

トルイはこの戦争において最大の功績を上げた将軍でしたが、三峰山の戦いの後に死去しました。この死を巡っては諸説あり、彼がオゴデイの身代わりとなって戦死したという説や、政権の中でトルイの勢力が増したために暗殺されたという説があります。後に、モンゴル帝国の権力の中心はオゴデイとその後継者チャガタイの両家に完全に移行しました。

その後の影響

第二次対金戦争の結果、モンゴル帝国は新たな政権の基盤を固めるとともに、オゴデイ・チャガタイ両家の支配が強化されました。これは後のバトゥの西征において、ジョチ家とトルイ家の不遇が引き金となって、オゴデイ家とチャガタイ家との間で起こる権力争いの遠因ともなりました。また、トルイの死は、権力団体の均衡を大きく変える要因ともなり、モンゴル帝国内の権力闘争を引き起こす一つのきっかけとなりました。

参考文献

- 杉山正明『モンゴル帝国の興亡・上』講談社〈講談社現代新書〉、1996年5月。ISBN 978-4061493063。

第二次対金戦争