三幡

三幡（さんまん）

三幡（さんまん）は、文治2年（1186年）に生まれ、正治元年6月30日（1199年7月24日）に没した、鎌倉時代初期の女性です。源頼朝と北条政子の次女であり、頼朝の子としては第5子、政子の子としては第3子にあたります。字を三幡といい、通称は乙姫と呼ばれていました。姉に大姫、弟に源頼家、源実朝がいます。また、貞暁とは異母兄妹（もしくは異母姉弟）の関係にありました。

生涯

父である源頼朝は、長女の大姫を後鳥羽天皇の妃として入内させることを目指していましたが、大姫が亡くなったため、三幡を次の候補として考えるようになりました。『尊卑分脈』によると、三幡は鎌倉にいたまま女御の宣旨を受け、正式な入内を待つばかりとなっていました。頼朝は三幡を伴って上洛し、朝廷の政治について意見を述べる予定でしたが、建久10年1月13日（1199年2月9日）に死去し、その計画は実現しませんでした。

頼朝の死後も、三幡の入内工作は続けられました。しかし、同年3月5日（4月2日）頃から、三幡は高熱を出し、病に倒れます。容態は深刻であり、母の政子は諸社諸寺に祈願や読経を行わせました。3月12日（4月9日）には、三幡は日に日に衰弱していき、療養のために名医として名高い京の針博士・丹波時長を招こうとしましたが、時長は固辞しました。そのため、在京の御家人に使いを出し、院に奏上するよう依頼しました。

5月7日（6月2日）、京から医師・丹波時長が到着しました。時長は度々固辞していましたが、院宣によって関東へ下向することになりました。5月8日（6月3日）、時長は朱砂丸を三幡に献上し、砂金20両の禄を受け取りました。5月13日（6月8日）には、御家人たちが日替わりで時長を饗応することが決まりました。5月29日（6月24日）には、三幡はわずかに食事をとり、周囲を喜ばせました。

しかし、6月14日（7月8日）になると、三幡は再びぐったりとし、6月12日（7月6日）からは目の上が腫れるという異様な状態になりました。時長はこれを見て驚き、もはや手の施しようがなく、人力ではどうすることもできないと述べ、6月26日（7月20日）に帰京しました。

そして、6月30日（7月24日）、三幡は死去しました。享年14歳。6月25日（7月19日）に京から駆け戻った乳母父の中原親能は出家し、遺体は親能の屋敷がある鎌倉亀谷堂の傍らに葬られました。これは、頼朝の死からわずか5ヶ月半後のことでした。

三幡の短い生涯は、鎌倉幕府初期の権力闘争と、後鳥羽天皇との関係を背景に、政略結婚の道具として翻弄された悲劇的なものでした。彼女の死は、幕府の将来に暗い影を落とす出来事となりました。

関連項目

* 吾妻鏡

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