中原親能

中原親能：鎌倉幕府を支えた知略家

中原親能（なかはら の ちかよし）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した人物です。下級貴族でありながら、鎌倉幕府の文官御家人として、源頼朝の側近として重用されました。十三人の合議制の一人としても知られ、幕府の草創期を支えた重要な人物です。

生涯

康治2年（1143年）に生まれた親能は、明経道の家系である中原氏の出身です。出自については諸説あり、『尊卑分脈』では中原広季の実子とされますが、『大友家文書録』では藤原光能の子で広季の養子になったとされています。

治承4年（1180年）、源頼朝が挙兵すると、親能は頼朝の側近として活動を始めます。平時実による捜索を逃れ、寿永2年（1183年）には頼朝の使者として上洛。源義経と共に京へ向かい、九条兼実の日記にもその名が登場します。親能は、朝廷との交渉役として活躍し、頼朝の代官として公家との折衝に尽力しました。

元暦元年（1184年）には公文所の寄人に選ばれ、文治元年（1185年）には源範頼の参謀として各地を転戦し、頼朝から感状を受けました。鎌倉に戻ってからは、幕府の中枢で活躍し、政所の公事奉行人に任じられるなど、要職を歴任しました。

親能は、朝廷と幕府の間を頻繁に行き来し、折衝役を務めたことから「京都守護」とも称されました。鎮西奉行や豊後国などの守護職にも任じられたという説もあります。

正治元年（1199年）に源頼家が跡を継ぐと、十三人の合議制の一人となり、幕政を担いました。また、頼朝の次女・三幡の乳母を務めた妻との関係も深く、三幡の死後に出家し、寂忍と号しました。

承元2年12月18日（1209年1月25日）、親能は京都で66歳で亡くなりました。

大友氏との関係

大友氏の初代である大友能直は、親能の猶子であったとされています。能直の出自には諸説ありますが、親能の妻と能直の母が姉妹であったことが、その関係を裏付けています。親能が鎮西に広大な所領と権限を持っていたことも、大友氏が九州で勢力を拡大する上で大きな影響を与えました。大友氏の豊後国における所領は、親能から相続したものという説もあり、瀬野精一郎は、大友氏の鎮西における活躍は、親能との養子関係に端を発すると主張しています。

人物像

中原親能は、鎌倉幕府の成立と安定に大きく貢献した人物です。朝廷との交渉、幕府の要職、大友氏との関係など、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。その知略と行動力は、鎌倉幕府の礎を築いたと言えるでしょう。

関連作品

テレビドラマ
『草燃える』（1979年、NHK大河ドラマ、演：渥美国泰）
『鎌倉殿の13人』（2022年、NHK大河ドラマ、演：川島潤哉）

参考文献

瀬野精一郎「中原親能」『国史大辞典』吉川弘文館、1997年。
* 永井晋『金沢北条氏の研究』八木書店、2006年。ISBN 978-4-8406-2025-3。

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