三式十二糎高射砲

三式十二糎高射砲の概要

三式十二糎高射砲（さんしきじゅうにせんちこうしゃほう）は、日本陸軍によって1943年（昭和18年）に制式化され、高度な航空機に対抗するために開発された高射砲です。特に、太平洋戦争中に頻繁に使用されたアメリカ製B-29爆撃機に対抗するため、1万メートル以上の高高度に到達できる数少ない砲のひとつとして位置づけられていました。この高射砲は、約140門が生産され、その性能が戦局に影響を与えました。

開発の背景

第二次世界大戦が勃発すると、航空機の性能は飛躍的に向上し、高高度作戦が可能な爆撃機が次々と現れました。これに対抗するため、日本陸軍は艦船に搭載されていた八九式十二糎七高角砲をモデルに、海軍から技術支援を受けて新しい高射砲を開発しました。従来の十四年式十糎高射砲よりも大きな口径を持ち、特に高高度への対応力を強化することが狙いでした。具体的には、以下の理由から大口径化が求められました。

• - 中口径の砲では高高度まで弾を上げることに限界があるため
• - 初速を向上させないと高高度に到達できないが、口径が小さいと初速が高くなりすぎて砲身が早く摩耗する
• - 威力の向上を図る

陸軍で開発された本砲の口径は120mmであり、海軍の127mmとは異なるため、両者の互換性はありませんでした。

特徴と技術

三式十二糎高射砲は、要地防空を目的としており、そのために固定式として設計されました。この固定化により、以下のような高性能な機能が装備されています。

• - 電気式の高射照準具による精密な照準
• - 自動装填装置の導入
• - 従来の手動操作に対し、海軍式のモーター駆動による迅速な操作が可能
• - 時計式の機械信管を採用し、装填中に信管の測合が自動で行われる

これらの技術革新により、三式高射砲はそれまでの野戦高射砲とは明らかに異なる性能を持つに至りました。戦後の資料によると、実用発射速度は毎分15発とされています。

運用状況

三式高射砲は、東京、大阪、神戸、北九州の重要な都心施設や軍需工場、南方の石油基地パレンバンなどに配備されました。特に東京に配置された高射砲は、高高度を飛行するB-29を十数機撃墜するなどの戦果を上げました。しかし、供給数が限られていたため、実際には八八式七糎野戦高射砲や九九式八糎高射砲が主力を担う状況が続きました。

現存する砲

近年、一部の三式高射砲が発見されています。2008年には横浜市の公園で砲身が見つかり、現在は陸上自衛隊高射学校で展示されています。また、2021年には東京都足立区の工事現場で本体が発見され、こちらも陸上自衛隊に移送されました。2023年5月の情報によれば、これらの砲は修復作業中とのことです。

主要性能

• - 口径: 120.0mm
• - 砲身長: 6.71m
• - 初速: 853m/秒
• - 射程: 20500m
• - 最大射高: 14000m
• - 重量: 19.80t

参考情報

これらの情報は、三式高射砲に関する資料や外部リンクを基にしています。

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