三式指揮連絡機

三式指揮連絡機（キ76）

概要

三式指揮連絡機は、大日本帝国陸軍が第二次世界大戦中に使用した多用途の連絡機です。この機体は地上軍の空中指揮や、前後方の連絡、砲兵の弾着観測、物資輸送、偵察など、様々な用途に対応することができます。その特に優れた特長は、整備されていない不整地でも使用できる短距離離着陸（STOL）性能にあります。連合軍からのコードネームは「Stella」で、日本国際航空工業によって開発されました。

開発の経緯

開発は1940年8月に始まり、当初はドイツのFi156シュトルヒとの競争において国産化を目指していました。1941年5月には試作機が完成し、6月にはFi156との比較試験が行われました。試験の結果、三式指揮連絡機はFi156よりも優れた性能を示し、正式に採用が決まりました。これは単なるコピーではなく、日本独自の技術を反映した機体です。

設計特性

この機体は高翼配置に主翼があり、広い間隔と長い支柱を持つ主脚が特徴です。全長と全幅はFi156よりもわずかに大きく、空冷星形9気筒エンジンを搭載したことで、胴体は太く円錐形をしています。このため、視界は劣るものの、大きな曲面窓が採用されており、視界は非常に良好です。

また、主翼には全幅に固定スラットが搭載され、陸軍機として唯一の後方折りたたみ式となっています。フラップにはファウラー式が採用されており、これにより離着陸時の失速速度を40km/hに抑えることが可能です。これらの設計は機体の運用性を大きく向上させました。

性能と運用

離陸距離はわずか58メートル、着陸距離は62メートルと、非常に短いのが特徴です。さらに、風速5mの向かい風があれば、たった30メートルで離着陸が可能です。このSTOL性能は数々の特異なエピソードとして語られています。例えば、試験中に地元の農夫に新田原行きの道を尋ねた際の着陸試験や、授業中の女学校の校庭に軽い気持ちで降下したエピソードなどがあり、当時の飛行技術を示しています。

1943年12月に制式化されるも、戦局は厳しく最高速度が200km/h未満のため、前線での運用は難しくなりました。そこで、特別に選ばれた操縦者によって独立飛行第1中隊が編成され、対潜哨戒任務に従事することになりました。これによって、海上での対潜観測活動が行われ、後には輸送任務にも参加しました。

結論

このように、三式指揮連絡機はその独自の設計と多用途性により、戦争中の様々な任務に応じて活躍しました。実際には多くの機体が生産され、その運用は特に陸軍航空審査部や沖縄での使用において高く評価されたと言われています。

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