三式空六号無線電信機

三式空六号無線電信機

三式空六号無線電信機（さんしきくうろくごうむせんでんしんき）は、第二次世界大戦中に大日本帝国海軍が開発した航空機に搭載されるレーダーシステムです。このレーダーは、その名が示す通り無線電信機という名が付けられていましたが、実際には艦船や航空機の探知に特化したものです。一般にはH-6電探または空六号電探とも呼ばれています。

開発

この航空機レーダーは海軍航空技術廠によって開発され、150kmの距離で港湾を探知でき、大型艦艇に対しては100km、小型艦艇には50kmまでの探知が可能とされていました。1943年10月には正式に採用され、航空機搭載型のレーダーとしての役割を担いました。

設計

レーダーシステムは、送信機、受信機、指示器、放電器がコードで連結されて構成されています。機体外部には各種アンテナが取り付けられ、受信機と送信機はそれぞれ特定の寸法を持ち、機器全体の重量は約110kgに達しました。そのため、三座機や双発機、四発機への搭載が必要とされました。

使用される電波の波長は2mで、出力は6kWに設定されています。具体的な装備例として、日本海軍の哨戒機である東海には、各所にアンテナが配置され、機体の前方、胴体後部右側面、左側面のそれぞれに取り付けられました。このシステムは、一度に一方向にだけ電波を発信することに対応しており、電信員が手動でセレクタースイッチを操作しながら、送受信の方向を一定の距離ごとに切り替える必要がありました。長時間の運用においては、電信員に大きな負担を強いられることとなりました。

信号発信後に反射された信号は、送受信アンテナによって受信され、指示器のブラウン管上に表示されました。これをAスコープと呼び、輝線のパターンで探知した目標の有無を確認しました。

生産

日本における機上レーダーの開発は、その小型軽量化と電源確保に苦労しました。物資不足や空襲による原材料の入手困難、さらに熟練工が徴兵されたこと等で、製品の品質も影響を受け、その結果、実戦での性能が著しく低下しました。研究室では良好に作動していた技術も、実際の戦場では粗悪な品質や信頼性不足により、効果を半減させていました。最終的に生産された台数は約2,000台に達しました。

実戦

1944年11月19日、インパクトのある実戦データの一例として、二式大艇が横浜からトラック島へ輸送作戦を実施した際、電探によって約20隻のアメリカ軍輸送船団を探知することに成功しました。次第に故障が生じたものの、その後修理を経て帰路についた際、低空飛行を余儀なくされながらも陸岸を探知しました。

また、1945年3月11日には、特攻隊の誘導にあたる中で、電探が島を捉え損なうという事例もありました。このような状況から、存在する距離の測定についても一定の限界が感じられました。

装備機体

三式空六号無線電信機は、様々な機体に装備されました。具体的には、天山一二甲型、長峯五郎により名前の付けられた仮称銀河一一丙型、一式陸上攻撃機二二甲型および零式水上偵察機一一甲型などが挙げられます。これらの機体には効果的にレーダーが取り付けられ、戦局への影響を与えることとなりました。

参考文献

• - 中川靖造『海軍技術研究所』光人社（光人社NF文庫）、2010年。
• - 長峯五郎『二式大艇空戦記』光人社（光人社NF文庫）、2007年。
• - 野原茂『日本陸海軍 偵察機・輸送機・練習機・飛行艇 1930-1945』文林堂、2009年。
• - 『日本海軍機全集』文林堂、1998年。

このように、三式空六号無線電信機は、航空機に搭載された重要なレーダーシステムとして、第二次世界大戦の中で重要な役割を果たしました。

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