三成美保

三成美保：ジェンダー研究の先駆者

三成美保（みつなり みほ）は、1956年生まれの日本の法学者、社会学者であり、ジェンダー研究における第一人者として知られています。追手門学院大学教授として教鞭を執る傍ら、日本ジェンダー学会副理事長を務め、ジェンダー、セクシュアリティ、LGBTに関する研究を精力的に行っています。彼女の研究は、法学、社会学、歴史学など多岐にわたる分野に影響を与え、日本のジェンダー研究の発展に大きく貢献しています。

学歴と職歴

三成氏は香川県出身で、1979年に大阪大学文学部史学科を卒業後、同大学院文学研究科博士前期課程、さらに法学研究科博士前期課程を修了しました。その後、同大学院法学研究科博士後期課程を満期退学しています。

2004年4月には摂南大学法学部教授に就任し、研究者としてのキャリアを本格的にスタートさせました。2012年4月には奈良女子大学教授に転じ、2015年4月には同大学の副学長に就任しました。2017年10月から2020年9月にかけては、日本学術会議副会長を歴任するなど、学術界における重要な役職を数多く務めています。2022年4月からは追手門学院大学教授として、後進の育成に力を注いでいます。

ジェンダー研究への貢献

三成氏の専門は、ジェンダー法学、ジェンダー史学であり、特に近代ドイツの家族とセクシュアリティに関する研究で知られています。彼女は、歴史的視点からジェンダーの問題を捉え、法制度や社会構造がジェンダーに与える影響を分析しています。また、LGBTに関する研究にも力を入れており、同性愛をめぐる歴史と法、教育とLGBTI、LGBTIの雇用と労働など、多様なテーマに取り組んでいます。

2019年には、奈良女子大学がトランスジェンダーの学生を2020年度から受け入れることを発表しましたが、この制度改革に副学長として深く関わりました。これは、国立女子大学としてはお茶の水女子大学に次いで2番目の取り組みであり、多様性を尊重する社会の実現に向けた大きな一歩となりました。

社会活動

三成氏は、研究活動だけでなく、社会的な活動にも積極的に参加しています。2023年には、LGBT理解増進法案の問題点について、ウィメンズアクションネットワーク（WAN）の公式サイトにレポートを寄稿し、法案の問題点を指摘しました。また、浅倉むつ子、上野千鶴子、三浦まりらと連名で、「LGBTQ＋への差別・憎悪に抗議するフェミニストからの緊急声明」を発表するなど、LGBTQ＋の権利擁護に向けて積極的に発言しています。

著書

三成氏は、多数の著書を執筆、または編纂しています。主な著書としては、『ジェンダーの法史学―近代ドイツの家族とセクシュアリティ』（勁草書房）、『ジェンダー法学入門』（法律文化社）、『同性愛をめぐる歴史と法―尊厳としてのセクシュアリティ』（明石書店）、『教育とLGBTIをつなぐ―学校・大学の現場から考える』（青弓社）、『LGBTIの雇用と労働―当事者の困難とその解決方法を考える』（晃洋書房）などがあります。これらの著書は、ジェンダー研究の重要な文献として、広く読まれています。

三成美保は、ジェンダー研究の分野において、学術的な貢献だけでなく、社会的な活動を通じて、多様性を尊重する社会の実現に向けて尽力している、現代日本を代表する知識人の一人です。

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