三日平氏の乱 (鎌倉時代)

三日平氏の乱

三日平氏の乱（みっかへいしのらん）は、鎌倉時代の初期、平家の残党が伊勢国と伊賀国で蜂起した歴史的な事件です。この乱は、建仁3年（1203年）12月に伊勢平氏の若菜盛高が反乱を起こし、鎌倉幕府軍の平賀朝雅がそれに対して迅速に討伐に向かったことから「三日平氏の乱」と名付けられました。反乱軍は、元久元年（1204年）4月10日から12日の間に鎮圧され、その後の幕府の対応は内紛の重要な一環となりました。

背景

この乱が起きた背景には、鎌倉幕府内部での権力闘争がありました。初代将軍源頼朝の死後、幕府は次第に混乱し、内紛が続いていました。正治2年（1200年）には梶原景時を巡る騒動が生じ、建仁の乱が引き起こされました。その後、建仁3年（1203年）には比企能員の変によって、次代将軍である源頼家が追放され、12歳の源実朝が擁立されることになります。幕府はその権力を北条時政が握り、時政の娘婿である平賀朝雅が京に派遣されました。

一方、伊勢と伊賀地域はかつて平家の本拠地であり、治承・寿永の乱で壊滅した平家残党が完全に根絶されたわけではありませんでした。平家の残党たちは、長年の沈黙を経て、幕府の動揺を捉えて活動を再開することになります。

処状

建仁3年12月、若菜盛高が反乱の先頭に立ち、伊勢国の守護である山内首藤経俊の拠点を襲撃しました。しかし、経俊はこの襲撃が平氏の再起を示すものであるとは理解せず、事の重大さを看過してしまいました。その後、反乱軍は勢力を拡大し、次第に伊勢と伊賀両国での反乱が発生しました。

幕府はこの報告を受け、急遽平賀朝雅に討伐の命令を出しました。朝雅は350騎を引き連れ、伊勢と伊賀へと向かいましたが、反乱軍は鈴鹿関を固め、その進軍は容易ではありませんでした。幕府側は美濃を経由して伊勢国に入り、数回の合戦を通じて反乱軍を打ち破りました。最初の合戦は4月10日から始まり、富田基度を撃破したことで幕府の勢いが増し、そのまま反乱軍を一掃することに成功しました。

結果

わずか3日間でほぼ全ての反乱を制圧した後、幕府は反乱に関わった者の処遇を決定しました。山内首藤経俊はその身分を剥奪され、平賀朝雅がその職務を兼任することになりました。また、反乱を主導した平家側の人間たちの土地や財産は朝雅に与えられ、朝雅は急速に権勢を増していくこととなりました。

後の権力闘争においては、朝雅はさらに滞在していた京都で権力を拡大し、政治的な地位を確立します。しかし、彼の権力が絶頂に達した矢先、幕府内での権力闘争の結果、彼は殺害されることになります。この乱は、幕府内での権力構図の変化を象徴する出来事となりました。

異なる見解

三日平氏の乱に関しては、平家側の残党が平賀朝雅とその家系との結託のもと、意図的に争いを仕掛けた可能性が示唆されています。これは岡野友彦の研究に基づくもので、個々の権力拡大のために平氏残党が不当に利用された可能性を考察しています。

参考文献

• - 角田文衞　『平家後抄　〈上〉　落日後の平家』　講談社学術文庫　2000年。
• - 永井晋　『鎌倉幕府の転換点　「吾妻鏡」を読みなおす』 日本放送出版協会、2000年。
• - 関幸彦・福田豊彦編著　『源平合戦事典』　吉川弘文館、2006年。

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