三月事件

三月事件の概略

三月事件（さんがつじけん）は、1931年3月20日に発生し、陸軍の中堅幹部たちによるクーデター未遂事件です。この事件は、日本の政治情勢に大きな影響を与えました。

背景

1930年、橋本欣五郎中佐を中心に政治結社「桜会」が設立されました。これにより、反政党的な動きが活発化し、陸軍内に支持者が多くいることから、クーデター計画が模索され始めました。これが事件の発端となります。

計画の立案

事件の準備は1931年の初めに始まりました。橋本は宇垣一成陸相を首班とする軍事政権を樹立する意図で、参謀本部内の有力者たちを動員し計画を進めました。また、右翼団体のリーダーたちもこの計画に参加し、民衆を煽動する構想が描かれました。

具体的には、大川周明や清水行之助が中心となり、議会を包囲し、政友会や民政党本部を攻撃することが狙われていました。また、直接議場に突入し、内閣を辞任に追い込む計画もありました。

計画の破綻

しかし、計画が進む中、陸軍のトップ首脳部からの同意が得られなかったため、立ち消えに近い状態となりました。特に永田鉄山などの中堅幹部が「慎重に行うべき」との意見を持っていたため、宇垣陸相は躊躇し、最終的に事件は未遂に終わります。

結果

事件の発覚後、陸軍は計画の隠蔽を図りましたが、三月事件はその後のクーデター計画の常態化を示す象徴的な出来事となります。満州などの進出を狙っていた陸軍内部の動きは、この事件を契機にさらに活発化し、後の歴史に影響を及ぼしました。

宇垣一成の運命

この事件の影響により、宇垣一成は陸相を辞任し、後には朝鮮総督に就任しましたが、三月事件や彼の軍縮政策が評価を下げ、最終的には首相に就任することはありませんでした。

クーデター資金

事件の資金は参謀本部の機密費などから捻出されました。また、右翼団体の活動資金も利用されており、資金の流れが非常に重要な要素であったことが分かります。

事件の記録

事件に関与した田中清大尉の手記や、橋本欣五郎の記録も後に発見され、事件の詳細が明らかにされました。これらの記録は、軍内部でも問題となり、後の軍部の動きを探る材料となりました。

まとめ

三月事件は日本の軍部によるクーデター計画の一つであり、その失敗は以降の日本の政治と軍事に大きな影響を及ぼしました。事件の背後には、複雑な人間関係と当時の政治状況が絡んでいます。今でもこの事件は議論の対象となり、日本史における重要なターニングポイントとして位置づけられています。

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