三本和彦

三本和彦について

三本和彦（みつもと かずひこ、1931年12月22日 - 2022年7月16日）は、日本のモータージャーナリストであり、有限会社三信工房の代表を務めました。彼は日本自動車ジャーナリスト協会の名誉会員や日本写真家協会の会員としても活動していました。特にその独自の視点と辛口のコメントで、モータージャーナリズムの代表的存在として知られています。

来歴

東京都に生まれた三本は、埼玉工業大学の前身である東京商工学校の機械工学科を卒業後、1954年に國學院大學の政経学部経済学科を卒業しました。その後、1956年に東京写真大学（現在の東京工芸大学）を卒業し、写真部記者として東京新聞に在籍しました。彼のキャリアは、学生時代に知り合った小林彰太郎との縁をきっかけに、1962年に創刊された自動車雑誌『カーグラフィック』の写真撮影に携わることから始まります。

1970年には多摩美術大学で専任講師を務め、その後有限会社三信工房を設立し、自営業のフォトジャーナリスト及びモータージャーナリストとしての道を歩みました。1972年にはNETテレビの「13時ショー」で司会を開始し、1977年から2005年にかけては「新車情報」の司会を務め、28年間にわたり自動車情報を伝えてきました。時には海外のメディア、BBCの「Top Gear」にも出演し、国際的な舞台で活躍しました。

歴史を残した表現

三本は特にそのユニークな表現で知られており、「羊の皮を被った狼」、「猫足」といった名言を残しました。彼の独特の語り口は、「気の狂ったアヒル」や「公衆便所のベンチレーター」といった形容詞を使い、視聴者や読者を楽しませてきました。「三本節」とも呼ばれるスタイルは、自動車業界で広く認知されており、彼のコメントは業界関係者の間でしばしば引用されるほどです。

また、彼は視聴者からの反響を受けて日本車のリアゲートに閉扉用取っ手を装備することを提言しました。これが実現したことは「三本対策」と称され、多くの自動車雑誌によって取り上げられました。そのような社会的影響力を持つ彼の言葉は、自動車業界の改善に貢献してきたと言えます。

晩年と家族の背景

晩年は愛車としてフォルクスワーゲン・ポロを愛用しました。2013年のテレビ番組ではメルセデス・ベンツ・Cクラスを次の最後の車にする意向を示し、2022年には高齢を理由にポロが最後の車であることも示唆しました。また彼の妻は写真家の上野千鶴子であり、二人は長年の伴侶として歩んできました。

主な業績と書籍

三本は多くの著書を残しています。その中には『世界最長ラリーに挑戦して』や『お金のかからないクルマの使い方』などがあり、自動車に関する幅広い知識と実践を伝えてきました。彼の作品は、モータージャーナリズムの発展に寄与し、多くの読者に影響を与えています。

2022年7月16日、転移性肝がんにより東京都内で亡くなりました。享年90歳。三本和彦の業績や影響は、自動車ジャーナリズムにおいて今なお多くの人々に影響を及ぼし続けています。

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