三村智保

三村智保（みむら ともやす）は、1969年7月4日生まれの囲碁棋士で、日本棋院東京本院に所属し、九段の段位を持つプロ棋士です。福岡県北九州市出身で、幼少期を千葉県で過ごしました。彼は、名誉棋聖である藤沢秀行の門下として、その才能を開花させました。

三村は、アマチュア二段の腕前を持つ父親の影響を受け、6歳で囲碁を始めました。小学生の頃からその才能を発揮し、少年少女囲碁大会では、全国大会で上位入賞を果たすなど、その実力を示しました。特に、中学校1年生の時には、同大会の中学生の部で最年少優勝を成し遂げ、周囲を驚かせました。その後、院生として研鑽を積み、15歳からは藤沢秀行の勉強会に参加し、プロ棋士を目指しました。

プロ入り前には、森田道博、高尾紳路と共に、囲碁ライターの田岡敬一に師事していましたが、後に三名とも藤沢秀行の門下となりました。1986年、三村は入段を果たし、正式に藤沢秀行の弟子となります。1988年には、棋道賞新人賞を受賞し、その才能が早くから認められました。

1990年には、21歳で名人戦リーグに初参加し、一次予選から勝ち上がってリーグ入りを果たし、その実力を示しました。これは、加藤正夫以来の快挙でした。その後、1994年と1995年には新人王戦を連覇し、1999年には新鋭トーナメント戦で優勝するなど、若手棋士として着実に実績を積み重ねました。2000年には九段に昇段し、トップ棋士としての地位を確立します。2001年には棋聖戦リーグ入り、2003年にはNHK杯で初優勝を飾り、その勢いのまま、テレビ囲碁アジア選手権戦でも準優勝を果たすなど、国内外でその名を知られるようになりました。同年、初の本因坊リーグ入りも果たしています。

私生活では、2009年に向井芳織（後に三村芳織）と結婚。2010年には男児が、2012年には双子の男児が誕生し、5人の子供を持つ父親でもあります。2014年には、妻の三村芳織とのペアで、日本棋院90周年記念の非公式戦「夫婦棋士囲碁トーナメント戦」で準優勝を果たし、夫婦での活躍も注目を集めました。

三村は、2004年から子供向けの囲碁教室「市川こども囲碁道場」を主宰し、後進の育成にも力を注いでいます。この道場からは、茂呂有紗、近藤登志希、大西研也など、多くのプロ棋士が巣立っています。また、自身の対局や棋戦情報、詰碁の問題などをブログで公開したり、YouTubeチャンネルで動画投稿を行うなど、囲碁の普及にも貢献しています。2016年から2017年にかけては、NHKの囲碁番組「囲碁フォーカス」の講師も務めました。

主な獲得タイトルは、新人王戦2期、新鋭トーナメント戦1期、NHK杯1期です。また、本因坊戦挑戦者決定プレーオフに進出したり、棋聖戦リーグや名人リーグ、本因坊リーグに複数回参加するなど、数々の実績を残しています。棋道賞新人賞や勝率第1位賞など、数々の受賞歴も持っています。

著書には、『石の形 矯正トレーニング』や『三村流 厚みの法則』、『三村流 布石の虎の巻』など、多数の囲碁に関する書籍を執筆しており、その理論と実践に基づいた解説は、多くの囲碁ファンから支持されています。

三村智保は、その卓越した棋力と、囲碁界への貢献、そして後進育成への熱意により、現代囲碁界を代表する棋士の一人として、その名を刻んでいます。

主な戦績
2004年 本因坊戦挑戦者決定プレーオフ進出
棋聖戦リーグ6期・名人リーグ3期・本因坊リーグ3期
1994年 NEC俊英囲碁トーナメント戦準優勝
2004年 NECカップ囲碁トーナメント戦準優勝
2014年 日本棋院90周年記念の非公式戦「夫婦棋士囲碁トーナメント戦」準優勝（三村芳織とのペア）

受賞歴
棋道賞新人賞（1998年）
棋道賞勝率第1位賞（2001年）

昇段履歴
1986年 入段、同年二段
1987年 三段
1988年 四段
1989年 五段
1991年 六段
1993年 七段
1998年 八段
* 2000年 九段

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