三橋四郎次 (初代)

初代 三橋四郎次：多岐にわたる分野で活躍した先駆者

初代三橋四郎次（1842年5月17日 - 1923年12月25日）は、日本の激動期に、篤農家、実業家、そして政治家として多方面で顕著な足跡を残した人物です。遠江国城東郡丹野村（現在の静岡県菊川市）に生まれ、地主であり里正でもあった三橋四郎助の長男として、その生涯をスタートさせました。

若き日の学びと地域社会への貢献

幼少期より和漢学を修めた四郎次は、父の跡を継ぎ丹野村の里正となります。明治維新後には、浜松県第十五区戸長、第三大区十三小区長、兼学区取締、浜松県第十三番中学区内学区取締など、地域の要職を歴任し、地方行政の中核を担いました。その後も、静岡県会議員、同議長、同常置委員を歴任するなど、地域社会の発展に尽力しました。

政界への進出と二期連続の衆議院議員

1898年3月、四郎次は第5回[[衆議院議員総選挙]]に静岡県第四区から出馬し、見事当選を果たします。続く第6回総選挙でも再選を果たし、憲政本党に所属し衆議院議員として二期連続で活躍しました。この間、国政の場においても、地域社会の声を代弁し、その発展に貢献しました。

茶業の振興への情熱

四郎次は、茶業の発展にも深い情熱を注ぎました。自ら茶園を経営し、1890年には内国勧業博覧会に自家製の緑茶を出品し、有功三等章を受章。さらに、茶業組合静岡県連合会議員、同副議長、茶業組合中央会議員、静岡県製茶直輸出会社取締役などを歴任し、茶業組合中央会から米国派遣員としてアメリカに渡り、現地の調査を行うなど、茶業の国際的な発展にも貢献しました。これらの活動を通して、静岡茶の品質向上と販路拡大に大きく貢献しました。

実業家としての手腕

実業家としての四郎次の手腕も高く評価されています。1978年には、見付第百二十四国立銀行を設立し、初代頭取に就任。同銀行が静岡第三十五国立銀行（現在の静岡銀行）に合併した後も、その取締役に名を連ねました。また、静岡農工銀行取締役、堀之内銀行専務取締役、仁王辻銀行専務取締役、静岡貯蓄銀行監査役、西ケ池合名会社代表社員など、様々な企業の要職を歴任し、地域経済の発展に大きく貢献しました。

その他の活動と晩年

四郎次は、文才にも優れており、著作として『蘆穗翁歌集』を1943年に残しています。また、二男の三橋四郎次（2代）（卓）も、父の跡を継ぎ衆議院議員・貴族院多額納税者議員として活躍しました。

1923年12月25日、初代三橋四郎次はその生涯を閉じますが、彼の残した功績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。彼の足跡は、地域社会、経済、政治の発展に大きく貢献しただけでなく、後世に多くの示唆を与え続けています。

参考資料

静岡新聞社出版局編『静岡県歴史人物事典』静岡新聞社、1991年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『人事興信録』3版、人事興信所、1911年。
山崎謙編『衆議院議員列伝』衆議院議員列伝発行所、1901年。
* 山田万作『岳陽名士伝』山田万作、1891年。

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