三河鉄道デ150形電車

三河鉄道デ150形電車について

三河鉄道デ150形電車は、三河鉄道において運用されていた通勤型の電車です。この電車の起源は、筑波鉄道に遡ります。筑波鉄道は1920年代に路線の延伸と電化を企図し、1925年から1927年の期間で日本車輌製造から木造客車を増備しました。製造されたのは主にナハフ100形とナロハ200形で、特にこの客車たちは電車と同様の車体構造があったため、電装品を取り付けることで改造が可能でした。しかし、経済的な不況や、併設された地磁気観測所の影響で、計画は中止されました。これによって、これらの客車は蒸気機関車によって牽引される存在となりました。

筑波鉄道が1941年にガソリンカーを導入した結果、これらの電車形客車は余剰となることが決まります。この機会に三河鉄道は利用者の増加に伴い、新たな車両を確保するために筑波鉄道の車両を購入し、付随車として運用することとなりました。

デ150形電車の誕生

1940年、三河鉄道はナロハ200形の1両、すなわち203号を購入し、車両番号をサハ21号としました。すぐに電動車化され、デ150形（151）になりました。この車両はダブルルーフの木造客車であり、側面にはガーランド形ベンチレーターを搭載していました。車両の窓配置は「1121D212D212E」となっており、客用扉が中央に配置されていました。

名鉄の合併後、この電車はモ1090形（1091）と改称され、三河線での運用が続けられました。晩年には車体の外板が鉄板で補強され、1958年には廃車されることとなりましたが、3700系への電装品の譲渡が行われました。

サハフ31号電車

さらに、三河鉄道にはサハフ31号電車も存在しました。この車両は1939年に購入され、前身はナハフ100形の101号であり、当初はサハフ31と名付けられました。名鉄合併後、サ2120形と改称されました。1951年に制御車化された際には、ク2120形として運用されることとなります。

サハフ31号もまたダブルルーフの木造客車であり、初めは運転室が設けられていませんでしたが、制御車改造に伴い運転室が新設されました。その後の側面窓配置は「1E2D12121D22」となりました。大幅な改造を受けた一方で、狭い運転室は乗務員から不評で、台車も当初の鉄道省規格からボールドウィン型に変更されるなどしたことから、車両としての特異性も増していきました。

このサハフ31号も名鉄合併後、モ3100形（3031）と編成を組み、三河線で使用されていましたが、その後、瀬戸線に転属し、1965年まで運用を続けました。晩年にはやはり車体が鉄板で補強され、窓も小さく暗い印象を与えたため、「棺桶電車」と呼ばれるほど乗務員たちに印象付けられました。最終的に、ク2121の台車はク2300形2301に転用され、名鉄における木造車の歴史を象徴する存在となったのです。

結論

三河鉄道デ150形及びサハフ31号の歴史は、鉄道路線の発展と経済の変遷を映し出す一面を持っています。それぞれの車両は、名鉄合併を経て、様々な運用形態を経ながら、長い年月にわたって利用され続けました。特に、木造客車の改造によって生まれたデ150形電車には、鉄道の時代背景における工夫と苦労が凝縮されています。

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