三洋証券

三洋証券株式会社とは

三洋証券は、かつて存在した日本の証券会社です。野村証券からの出資を受けていましたが、独自の経営路線を歩んでいました。バブル期には不動産投資やコンピュータ関連投資に積極的で、1988年には「東洋一」と謳われた大規模なトレーディングルームを本社別館に開設しました。

バブル崩壊後の経営危機

しかし、バブル崩壊後、本業の赤字に加え、系列ノンバンクの不良債権問題が深刻化しました。積極的なコンピュータ投資も経営を圧迫し、雪だるま式に債務が膨らんでいきました。1994年には旧大蔵省の主導で再建計画が発表されましたが、その後も業績は改善せず、1997年に倒産しました。

倒産までの経緯

1994年3月、三洋証券は旧大蔵省の主導で再建計画を発表しましたが、1992年3月期以降、1997年3月期の倒産まで6期連続の赤字を計上。債務返済の見通しが立たず、再建計画は頓挫しました。生命保険会社からの劣後ローンを自己資本に組み入れて自己資本比率を一時的に200%にまで引き上げましたが、その実態は自転車操業でした。自己資本比率が169.4%まで急降下した時点で、経営状況の深刻さが明らかになりました。

1997年春には、主力銀行が株式の持ち合いを解消し、生保各社は焦げ付きリスクの高い劣後ローンに否定的でした。同年7月、生保側は3ヶ月の延長しか認めず、新たな再建案の提示を求めました。事実上の最後通告となり、倒産は不可避となりました。

1997年9月には、国際証券との合併計画が報道されましたが、野村証券自身も損失補填問題や総会屋事件で経営が悪化しており、三洋証券の不良債権を引き受ける余裕はありませんでした。合併相手の国際証券もまた、問題を抱えており、合併は実現しませんでした。

1997年10月31日、劣後ローンの延長期限が切れ、生保側は株主代表訴訟リスクを恐れて延長を認めず、三洋証券は倒産しました。

債務不履行と金融市場の混乱

1997年11月3日、三洋証券は会社更生法の適用を申請しました。この倒産自体はそれほど大きな話題にはなりませんでしたが、戦後初の金融機関による債務不履行（デフォルト）が発生しました。群馬中央信用金庫が三洋証券に貸し付けていた約10億円の無担保コールが回収不能となり、国内外の無担保コール市場は大混乱に陥りました。

三洋証券の債務不履行は、日本の金融システムへの信頼を失墜させ、ジャパンプレミアムの原因を作りました。これにより、経営が悪化していた他の金融機関の資金調達はますます困難になり、北海道拓殖銀行や山一證券、徳陽シティ銀行は11月中に経営破綻に追い込まれました。

その後

1998年、三井海上火災保険が一部業務の承継を検討しましたが、最終的に断念しました。同年6月には経営再建を断念、8月には全従業員が解雇されました。1999年12月に破産宣告を受け、2009年3月に法人として消滅しました。本社別館は、その後、東洋情報システム（現・TIS）が買収し、データセンターとして利用されました。

沿革

1910年 - 「土屋鋭太郎商店」として創業。
1943年 - 「土屋證券株式會社」へ法人改組。
1944年 - 「日東証券株式会社」に商号変更。
1971年
4月 - 湘南証券を吸収合併。
10月 - 江口證券および大一呉証券を吸収合併、「江口日東証券株式会社」に商号変更。
1973年
1月 - 「三洋証券株式会社」と商号変更。総合証券会社となる。
5月 - 東京証券取引所・大阪証券取引所・名古屋証券取引所第2部市場に上場（証券コード：8605）。
1975年11月 - 上記3証券取引所の第1部銘柄に指定替え。
1988年4月 - 江東区に本社別館（ディーリングルーム）を竣工。
1997年
11月3日 - 会社更生法の適用を申請し、経営破綻。
11月4日 - 群馬中央信用金庫が三洋証券に貸し付けていた約10億円が焦げ付き、無担保コール市場が大混乱に陥る。
1998年
3月13日 - 三井海上火災保険が一部業務の承継を検討していたが、これを断念。
6月24日 - 更生管財人により、経営再建を断念すると発表。
8月31日 - 全従業員解雇。
1999年12月28日 - 破産宣告を受ける。
2009年3月25日 - 破産手続終結の決定を受け、法人消滅。

脚注

日本銀行総裁談話・三洋証券について 1997年11月3日 - 三洋証券の経営破綻に関するコメント。
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三洋証券の倒産は、日本の金融業界における大きな出来事として、その歴史に刻まれています。

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