三田一郎

三田 一郎（さんだ いちろう）

概要

三田一郎（Anthony Ichiro Sanda, 1944年3月4日生まれ）は、日本出身の著名な物理学者で、特に素粒子物理学の分野において多くの業績を残しています。また、カトリック教会の助祭としても活動しています。主な研究テーマはCP対称性の破れやB中間子の崩壊であり、その功績により2004年にJ・J・サクライ賞を受賞しました。

生い立ちと教育

三田一郎は東京都で生まれましたが、中学2年生の時、父の転勤によりアメリカに移住しました。その後、1992年までアメリカに居住し続けました。彼は1965年にイリノイ大学の工学部物理学科を卒業し、1969年にはプリンストン大学大学院にて博士課程を修了。この際、Ph.D.を取得しました。

職歴

三田氏はコロンビア大学の研究員を経た後、フェルミ国立加速器研究所とロックフェラー大学にて準教授を務めました。1992年以降は名古屋大学理学部の教授となり、2006年には名誉教授の資格を得ました。また、神奈川大学の工学部教授や東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構のプログラムオフィサーとしても活動しています。

主な業績

三田一郎は、破れたゲージ対称性理論におけるくりこみ可能なゲージ固定化法を提案し、これにより日本の高エネルギー加速器研究機構（KEK）におけるBelle実験やアメリカのスタンフォード線形加速器研究センターのBaBar実験に対する構想を促進しました。また、B中間子系でのCP対称性の破れの測定を通じて、小林・益川模型の理論背景を強化しました。これらの成果は、素粒子物理学の発展に多大な貢献をしています。

賞と栄誉

三田氏は多数の賞を受賞しています。特に注目すべきは、1993年に受賞した井上学術賞、1997年の仁科記念賞、2002年の中日文化賞、2004年のJ・J・サクライ賞などです。また、2002年には紫綬褒章、2017年には瑞宝中綬章も授与されました。

著書と論文

三田一郎は、物理学に関する多くの著書や論文を執筆しています。彼の代表的な著書には、岩波書店から出版された『CP非保存と時間反転、失われた反世界』があります。さらに、彼は国際的な科学雑誌においても多くの論文を発表しており、特にCP対称性の研究に移行する文献は重要視されています。

科学と宗教の関係

三田氏は、南山宗教文化研究所の客員研究所員として「科学と宗教」の関係に関する研究にも取り組んでいます。カトリック教会の助祭としても活動しており、洗礼名として「アンソニー」を持っています。また、2018年にはカトリック名古屋教区からカトリック東京大司教区へと移籍しました。

まとめ

三田一郎は素粒子物理学の分野において、深い理解と先駆的な業績を持った研究者です。彼の研究は、現代物理学の発展に重要な役割を果たしており、今後もその影響力は続いていくことでしょう。

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