ロックフェラー大学

ロックフェラー大学（The Rockefeller University）は、アメリカ合衆国ニューヨーク市、マンハッタンのアッパー・イースト・サイド地区にキャンパスを構える、生物学および医学の研究に特化した私立の大学院大学です。

主に大学院生とポスドク研究員を対象としており、その設立以来、世界の科学研究を牽引し、多数のノーベル賞受賞者を輩出するなど、トップクラスの研究成果を上げています。

歴史
その起源は、慈善活動でも知られる石油王ジョン・ロックフェラーが1901年に設立した「ロックフェラー医学研究センター」にあります。ロックフェラー家は以降も大学運営に深く関与し、デイヴィッド・ロックフェラーは名誉総長を務めました。当初は研究所でしたが、1965年に教育プログラムを導入し、「ロックフェラー大学」として再出発しました。日本の著名な医学者、野口英世も1904年からこの研究所で研究に励み、当時の記録が残っています。

学術的貢献
ロックフェラー大学は、科学史に残る画期的な発見の舞台となってきました。これまでに26名もの関係者がノーベル賞を受賞しています。主な成果としては、DNAが遺伝情報を担う物質であることの解明、血液型の発見、ウイルスの癌誘発性の特定、抗体の構造解析、ヘロイン依存症治療へのメサドン導入、エイズ治療のカクテル療法開発、体重調節ホルモンであるレプチンの発見などが挙げられます。これらの貢献は、現代生物医学の発展に不可欠なものです。

組織規模と研究分野
現在の大学には80超の研究室があり、約190人の主任科学者、約360人のポスドク、約1325人の職員が所属。約150人の博士課程学生、約50人のMD-Ph.D.学生が学んでおり、卒業生は約1,150人。研究分野は以下にわたります。

生化学、構造生物学、化学
分子、細胞、進化生物学
免疫学、ウイルス学、微生物学
医学、ヒト遺伝学
神経科学
物理学、数理生物学

ノーベル賞受賞者
ロックフェラー大学に関連するノーベル賞受賞者は以下の通りです。

アレクシス・カレル （1912年、生理学・医学）
カール・ラントシュタイナー （1930年、生理学・医学）
ハーバート・ガッサー （1944年、生理学・医学）
ウェンデル・スタンリー （1946年、化学）
ジョン・ノースロップ （1946年、化学）
フリッツ・アルベルト・リップマン （1953年、生理学・医学）
エドワード・ローリー・タータム （1958年、生理学・医学）
ジョシュア・レダーバーグ （1958年、生理学・医学）
ペイトン・ラウス （1966年、生理学・医学）
ハルダン・ケファー・ハートライン （1967年、生理学・医学）
ジェラルド・モーリス・エデルマン （1972年、生理学・医学）
ウィリアム・スタイン （1972年、化学）
スタンフォード・ムーア （1972年、化学）
ジョージ・エミール・パラーデ （1974年、生理学・医学）
クリスチャン・ド・デューブ （1974年、生理学・医学）
アルベルト・クラウデ （1974年、生理学・医学）
デビッド・ボルティモア （1975年、生理学・医学）
トルステン・ウィーセル （1981年、生理学・医学）
ロバート・メリフィールド （1984年、化学）
ギュンター・ブローベル （1999年、生理学・医学）
ポール・グリーンガード （2000年、生理学・医学）
ポール・ナース （2001年、生理学・医学）
ロデリック・マキノン （2003年、化学）
ラルフ・スタインマン （2011年、生理学・医学）
大隅良典 （2016年、生理学・医学）
マイケル・ヤング （2018年、生理学・医学）

もう一度検索