三田隆

三田 隆（みた たかし）

日本の映画俳優。本名は国木田 篤夫（くにきだ あつお）。1924年6月13日、東京府東京市（現在の東京都）に生まれた。著名な小説家である国木田独歩の孫にあたり、父は詩人・映画作家として活動した国木田虎雄である。

幼少期から俳優としての片鱗を見せていた。1938年、小学生時代に木田 篤夫の芸名で、阿部豊監督の映画『太陽の子』に出演し、銀幕デビューを果たした。この作品では、非行少年を感化するための農園に収容される少年役を演じた。ただし、一部の映画データベースでは、この時の出演を本名である国木田篤夫名義としている場合もある。

学業では、日本大学専門部芸術科美術課程で商業美術を専攻し卒業後、東和商事映画部に入社。裏方として映画業界に関わった経験も持つ。

戦後の映画界では、まず東映に籍を置いた後、1952年に重光 彬（しげみつ あきら）の芸名で再び俳優として本格的に活動を開始する。この年、阿部豊監督作『私はシベリアの捕虜だった』と、マキノ雅弘監督作『浮雲日記』で続けて主役に抜擢された。長身で風格のある二枚目俳優としてたちまち注目を集める存在となる。さらに、宝プロダクション製作、加藤泰監督の『ひよどり草紙』でも星美智子の相手役として主演を務め、俳優としての地位を確固たるものにした。

この活躍が認められ、同年中に大映東京撮影所に入社。これを機に芸名を三田 隆と改めた。大映時代には、その容姿と演技力で多くの作品で主演を務め、会社の看板俳優の一人として期待された。しかし、1954年頃からは主役としての起用が減少し、脇役としての出演が増えていく。キャリアの変遷を経て、1956年には大映を退社し、フリーランスとして俳優活動を続けたものの、間もなく芸能界から身を引いた。

俳優引退後の彼の動向については、長らく詳しいことは分かっていなかった。かつて1996年に刊行された『日本映画人名事典 男優篇 下巻』（キネマ旬報社）では、その没年が不詳とされていたほどである。しかし、その後の情報により、1961年1月1日に亡くなっていたとされる。満36歳という若さであった。

家族としては、女優の国木田 アコ（本名：国木田 吾子）は彼の娘にあたる。彼女は1971年に羽仁進監督の映画『午前中の時間割』で主演を務めたが、この一本のみで映画界を離れた。その後イギリスに渡り、現在はフランスで生活している。その娘、すなわち三田隆の孫にあたる国木田 彩良は、モデルとして活躍している。

また、三田隆の母親は、松竹の女優であった香取 幸枝であり、官能小説家として知られる団鬼六の実母でもある。

主な出演作品

以下に、各芸名での代表的な出演映画およびテレビドラマを挙げる。

国木田篤夫

『太陽の子』（1938年、東京発声） - 川上 役

重光彰

『私はシベリヤの捕虜だった』（1952年、東宝） - 吉田（兵長） 役
『浮雲日記』（1952年、東宝） - 主演：春信介 役

重光彬

『涙の恋千鳥』（1952年） - 山中愼也 役
『ひよどり草紙』（1952年） - 主演：鳥刺しの源次 役
『花火の舞』（1952年） - 須田清司 役

三田隆

『秘密』（1952年） - 富田次郎 役
『乾杯！東京娘』（1952年）- 篠原 役
『新婚のろけ節』（1953年） - 主演：大木 役
『現代処女』（1953年） - 糸井剛介 役
『続・浮雲日記』（1953年） - 主演：春信介 役
『暴力市街』（1953年） - 玉野俊吉 役
『丹下左膳』（1953年） - 諏訪栄三郎 役
『春雪の門』（1953年） - 三国義麿 役
『続丹下左膳』（1953年） - 諏訪栄三郎 役
『近世名勝負物語　血闘』（1953年） - キング川内 役
『黒帯嵐』（1953年） - 主演：秋葉兆一郎 役
『にっぽん製』（1953年） - 栗原正 役
『心の日月』（1954年） - 小野寺大作 役
『落花の門』（1954年） - 主演：北村良太郎 役
『愛染かつら』（1954年） - 斎藤 役
『花のいのちを』（1954年） - 牧田進 役
『知らずの弥太郎』（1954年） - 角又太郎太 役
『花の白虎隊』（1954年） - 布施三十郎 役
『千姫』（1954年） - 本多平八郎 役
『勝敗』（1954年） - 杉龍太 役
『風雪講道館』（1955年） - 掛札兵介 役
『東京暴力団』（1955年） - 江馬重蔵 役
『婦系図　湯島の白梅』（1955年） - 河野英吉 役
『珠はくだけず』（1955年） - 長男繁 役
『七人の兄いもうと』（1955年） - 宮本輝雄 役
『弾痕街』（1955年） - 前島 役
『人情馬鹿』（1956年） - 第一産業社長 役
『あこがれの練習船』（1956年） - 山口 役
『午後8時13分』（1956年） - 俵藤医師 役

テレビドラマ

『豹の眼』（1959年 - 1960年、ラジオ東京テレビ） - 王 役

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