三町 (高山市)

高山市三町伝統的建造物群保存地区

三町（さんまち）は、岐阜県高山市の中心部、宮川の東側に位置する、江戸時代の城下町の面影を色濃く残す地区です。具体的には、上三之町、上二之町、上一之町、片原町、神明町4丁目に跨る、東西約150m、南北約420mの区域を指し、通称「さんまち通り」として親しまれています。

歴史

この地区は、江戸時代に金森長近によって整備された城下町の商家町にあたります。元禄5年（1692年）に高山が幕府直轄領となると、高山城は加賀藩主前田綱紀の預かりとなり、その後破却されました。しかし、旧城下町は町人地として発展し、飛騨地方の商業の中心地として繁栄しました。

現在、伝統的建造物群保存地区として指定されているのは、宮川に並行して南北に延びる上三之町・上二之町の通りを中心とした区域です。北には下二之町、西には片原町、南には神明町4丁目が広がっており、江戸時代後期から明治時代にかけて建てられた趣のある和風建築が数多く残されています。

文化財としての価値

その歴史的価値が認められ、1979年（昭和54年）に「高山市三町伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。その後、1997年（平成9年）には選定区域が拡大され、片原町南部、上二之町南部、神明町4丁目の一部が追加されています。2004年（平成16年）には下二之町・大新町地区も追加選定され、2007年（平成19年）には電線地中化工事が行われ、より美しい景観が保たれるようになりました。

保存地区内には、民家や土蔵など、172棟もの伝統的な建造物が保存されており、当時の面影を今に伝えています。

町並保存会の活動

三町の町並みを守るため、地域住民による積極的な保存活動が行われています。高山市には全部で12の伝統的建造物群保存地区に町並保存会があり、21の保存会それぞれが地域の特性に合わせた保全活動を展開しています。これらの保存会は、景観町並保存連合会を組織し、年に一度総会を開いて活動計画や予算などを協議しています。

連合会の下には、町並保存部会、広報部会、子供伝承部会が置かれ、それぞれ専門的な活動を行っています。町並保存部会は、建物の景観審査や指導を行い、広報部会は保存活動の情報を発信しています。子供伝承部会は、子供たちに地域の歴史や文化を伝えるためのイベントなどを企画しています。

各保存会では、景観保全活動のほか、花いっぱい運動や防火訓練など、地域に根ざした様々な活動を展開しています。

その他の情報

2004年（平成16年）に「小京都・飛騨高山の町並みを巡るみち」として「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選定
2012年（平成24年）に上三之町の住民らで組織する「恵比須台組町並保存会」が文部科学省から表彰
2015年（平成27年）に高山市の「飛騨匠の技・こころー木とともに、今に引き継ぐ1300年」が「日本遺産」に認定
2016年（平成28年）に高山祭の屋台行事がユネスコ無形文化遺産に登録

アクセス

* JR高山本線 高山駅または高山濃飛バスセンターから徒歩約10分


三町は、古い町並みを散策しながら、飛騨高山の歴史と文化に触れることができる魅力的な観光スポットです。食べ歩きやお土産探しも楽しめます。

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